お知らせ (研修)

2月5日(金)~7日(日)、アメニティーフォーラム第20回記念大会(滋賀県)に参加しました。多くの学びと刺激。意識変革をして、新たな取り組みにつなげます!

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2月5日(金)~7日(日)、「アメニティーフォーラム20」が滋賀県大津プリンスホテルにて開催され、当法人より4名が参加しました。この催しは、障がいがハンディにならない社会の実現を目指して開催されており、毎回、全国から1500人を超える方々が参加されています。第20回記念大会の今回は、きたやまおさむさんと小室等さんによるジョイントコンサートも開催されました。

ここで、研修に参加した職員のレポートを紹介します。

 

 

2002年の7月のことです。2001年9月に「出会いの場ポレポレ」を開所した翌年、私たちは、アメニティーフォーラムの企画推進をされている北岡賢剛さん(現・社会福祉法人グロー理事長)にお会いするために滋賀の「オープンスペースれがーと」を訪ねました。現在は、「滋賀県社会福祉事業団」と「オープンスペース れがーと」が一つになって、社会福祉法人グロー(GLOW)になっています。

名古屋の島崎春樹さん(社会福祉法人あさみどりの会 元理事長)から北岡さんに頼んでいただいたためか、牛谷正人さん(現・社会福祉法人グロー副理事長)や中島秀夫さん(現・社会福祉法人グロー理事)など豪華な講師陣から、次々に講義をしていただきました。

「ご飯を食べに行く時間がもったいないでしょう。うちのパンでも食べて話をきいてください」

これにも、びっくり。北岡さんを始め、れがーと関係の方々は変革に燃えておられ、勢いがありました。今では当たり前になっている「地域支援」についてでしたが、当時の私たちは、「相談支援」や「レスパイトケア」等、初めて聴くことばかり。あまりにも予備知識がなかったので、皆さんのせっかくのお話もなかなか吸収できなかったのを思い出します。

 

私は、2003年2月からアメニティーフォーラムに参加しています。実は、これに刺激されて、2005年1月、「フォーラムinくるめ」を開催しました。

当時、佐賀知事に就任されたばかりの古川康さんにもお力をいただき、500名定員で企画準備。初めての試みで、達成には遠い数字とも思えたのですが、それから奮起し蓋を開けたら、2日間のフォーラムに1,000名以上の参加。快挙でした。当日は、福岡寿さん(現・長野県北信圏域障害者総合支援センター)や辻哲夫さん(元・厚生労働省事務次官)たちにも登壇していただき、久留米での取り組みが発信されるようになりました。あれから13年。アメニティーフォーラムの会場に行くと、懐かしい面々の皆さんは(私も含めて)年を重ねられ、会場も登壇者も私の知らない若い方々が多くなってきています。

 

今回のフォーラムに参加して心に残った点は、3日目の「アサダワタルが考える、これからの居場所の“創作”~個と個の交わる関係性を語り合う~」セッションでした。

特に、「内にこめる生きづらさを少し外に出すための表現活動の意味」で、上岡陽江さん(ダルク女性ハウス施設長)と西川勝さん(臨床哲学者・大阪大学CSCD特任教授)のセッション。

もうひとつは「これからの居場所の“創作”制度でこそできることと自律的で創造的な場づくりのハザマで」に登場した湯浅誠さん(法政大学現代福祉学部教授)と上田假奈代さん(NPO法人ココルーム代表理事)のセッション。これもとても興味深かったです。

上岡さんや上田さんを訪ねてみてお話をお聞きし、こちらの意識をかえて、新たな取り組みができたらと考えています。 (常務理事 馬場 篤子)

 

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アメニティーフォーラム第20回記念大会 → 詳細はこちらへ

 

 

毎年、滋賀で開催される日本一の規模を誇るフォーラム。朝から夜中まで、厚生労働省などの行政、政治家、全国の先駆的な取組みを行っている人たちの講演会でびっしりスケジュールが詰まり、頭に入りきれない情報と刺激があります。私は今回で2回目の参加。本当に「時代が変わる」ことを実感させられるフォーラムでした。

行政や政治家、有識者の皆さんからは、「どの国も経験したことのない少子高齢化社会に突入する中で社会保障に対する財政抑制が厳しさを増しており、介護保険をはじめ障害福祉分野でもこれまでのように右肩上がりの予算の伸びは見込めなくなる」とのお話でした。その課題解決として、「地域包括ケア」「地域づくり」「一億総活躍」などの言葉が頻回に使われ、「誰もが能力に応じて労働やお金を出し合い、高齢者や障害者、子どもなどを分けることなく地域全体で支えていくことになる」とのことでした。「あぁ~やっぱりお金も人も足りなくなる時代、『共助・互助』を強めていく時代に変わるんだ」と実感しました。

また、社会全体が苦しくなる中で、100%税金で成り立っている社会福祉事業においては、「国民から良いことをやっていると納得してもらえる事業展開(専門性・地域貢献)」「透明性・信頼性の高い経営」「多様な人をマネージメントする力」が必要。これからは、「三方よし(会社よし・利用者よし・地域よし)」から「地球(環境)よし・次世代よし」を加えた「五方よし」の経営視点が必要との指摘がありました。

 

大臣官房の蒲原氏のプレゼンの中で、全国でも実践が広がっており、安武町でも行われている「子ども食堂」が例に挙げられ、障害福祉だけをやるのではなく、地域課題も包括的に解決していく取組み(地域づくり)を広げていくことが、これからの社会福祉法人の重要な役割になってくるとありました。

さらに、講義「これからの日本をデザインする」の中では、中央大学の宮本教授から、支える側と支えられる側では維持できない時代において、新しい考え方「支え合いを支える保障(共生保障)」とそれを作り出すための仕組み(支援付き就労、補完型所得、地域的居住)をどう創るかがポイントとなるということ。自治体の役割としては、分野を縦割りではなく横割りで好循環を生むために、どうそれぞれの機能を使えるようにするのかがポイントになる、と提言がありました。

 

最終日は、地域づくりをメインテーマとした連続講義「アサダワタルが考える、これからの居場所の”創作”」を受講。表現活動(話す、踊る、描くなど)としてのアートを媒体に、これまでの枠にはまらずに、知らない「あなた」と「私」との関係をつないでいく居場所の紹介と役割の意味。確かに人と人とがつながることで豊かな生き方が生まれてくる一方では、お金は期待できないジレンマがある。時間はかかるかもしれないが、そういう場づくりにお金をかけ、評価される時代がやってくるはずであると湯浅氏は話されました。

社会情勢や総合支援法3年後の見直しをはじめ、これから変わりゆく時代において、当法人がどう向かっていくべきか、とても示唆に富んだフォーラムでした。 (グループホーム責任者 浦川直人)

 

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今回、沢山の講義を一度に聞き、頭から足先までお腹いっぱいになった感があります。深夜まで及ぶ講演とそれを熱心に受講する人、とにかく素晴らしかったと思います。

その中で関心のあった徳島大学大学院の境泉洋先生による講演「ひきこもりの実態と構造~高齢化するひきこもり」についてレポートします。

 

ひきこもりとは?

ひきこもりの定義は、様々な原因の結果として社会参加を回避し、原則的には6ヵ月以上にわたって概ね家庭にとどまり続けている状態を指す現象概念です。ひきこもりには、精神疾患の症状からくる二次性と、精神疾患が直接原因の零次性、精神疾患の症状がない一次性とに分類されます。ひきこもりの子どもを持つ家族は、わが子に精神疾患があるはずがなく一次性だと考えますが、実際に支援してみると、統合失調症や発達障害がベースにある二次性というケースが多いといいます。性別では、学生の間は男女差がなく、18歳以上では男性が8割、女性2割。男性に多い理由としては、就労へのプレッシャーや働く以外の役割が男性に少ないこと、発達障害は男性が多いことがあげられます。

 

ひきこもりの初期・中期・慢性期~回復期へ

人の心理状態として、楽しいことを追い求める人は家にずっとは居ませんし、嫌なことがないことを求めると家に居たくなるものです。ひきこもりの心理として、人は何かをする時にはメリットのある方向へ動こうとしますので、初期は不安な状況を避け、これを維持するために家にこもります。ですが、ひきこもるよりもメリットがあればそちらに行くことができます。

中期には、出て行こうとしますが、失敗体験を学習して無力となってしまい、慢性期には、楽しいから家にいるのではなく、嫌なことが起こらないメリットがあるから家にいるということ。本人はこのままではいけないという気持ちはありますが、何かしなければという焦りと何もできないという恐怖との間で葛藤を生じるのです。

 

ひきこもりからの回復初期は、楽しい気分になれる行動をワンステップずつ提示し、この時に現状維持以上の生活できるようにして成功体験を作り、メリットとすること。この行動レパートリーをどれだけ沢山提示できるかということです。現状以下の生活になるとデメリットを作ってしまうのでやり方を間違えないこと。回復後期には、嫌なこともあるけれど何かに挑戦したい気持ちにさせること。頑張っていればいいことがあるという気持ちにさせること。家族は最初からこの方法をとろうとするので失敗し、失敗体験となり更なるデメリット、ひきこもりを誘発してしまうのです。

大切なことは知り合いを増やし、相談を受けるとともに地域での受け皿を作っていくこと。まずは気持ちよく過ごし、ちょっとやろうかなという気持ちを持つことが大切ということでした。相談支援をするなかで、ひきこもりのケースがあるので参考にしたいと思います。

(相談支援専門員 大力 陽子)

 

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滋賀で行われたアメニティーフォーラムには、全国の事業所よりたくさんの方々が研修を受けに来られていました。フォーラムではさまざまなテーマのもとで研修が行われて、地域に視点を置いたお話や3年後の法律改正についてのお話が多かったように思います。

その中で一番印象強かったのは、東田直樹さん(作家)と東田美紀さん(お母さん)の「自閉症の僕が跳びはねる理由」「わが子の可能性を信じる子育て」という講演でした。以前NHKで放送された「君が僕の息子について教えてくれたこと」という番組で東田さんのお話が放映され、「出会いの場ポレポレ」にて拝見しました。その時に東田さんの事を存じ上げ、フォーラムで実際に御本人よりお話を聞かせていただきました。小さい頃から様々な取り組みをされており、特に印象に残っている事がフラッシュカードで、一種類のカードだけでなく、さまざまな種類のカードを組み合わせて(図や、英語表記、計算式が表記されているなど)飽きがこないよう、言葉の習得に繋げていったとのことでした。最後に質問を受けられていた際、沢山の人々の中での長時間の講演ということもあったためかステージ上を飛びはねたりお母さまへ問いかけを何度もされたりしていましたが、会話のできない重度の自閉症ということで、紙で作ったパソコンの文字盤をポインティングすることにより援助なしでコミュニケーションをし、長い質問に対しても時間をかけてしっかりと質問に答えておられました。

どんな障害があっても地域で共にみんなで暮らしていくために、私ができる事は何だろうか。そのためにどのような取り組みを考えていけるのだろうか、と改めて考える機会になり、刺激をいただいた研修となりました。(出会いの場ポレポレ 碇 翔南子)