お知らせ (研修)

7月1日より久留米市障害者基幹相談支援センターが開設され、当法人は西部地区の運営業務を務めます。6月、その準備に向けて、愛知県の基幹相談支援センターやグループホーム等の研修視察に行きました。

今年の7月1日、久留米市障害者基幹相談支援センターが市内4ヵ所に開設されます。

東部地区を社会福祉法人ゆうかり学園様、南部地区を医療法人コミュノテ風と虹様、北部地区を特定非営利活動法人久障支援運営委員会様、そして西部地区を当法人が担当します。

障害のある人たちの暮らしや活動に関する相談をお受けし、相談の内容に応じて久留米市や病院、施設など必要な関係機関の情報を提供し、また連携しながら解決に向けて一緒に考えていきたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。

 

 

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あさみどりの会「児童発達支援センターさわらび園」・名古屋市総合リハビリテーション事業団

 

7月1日の久留米市障害者基幹相談支援センター開設にむけて、6月7日(火)・8日(水)、同センターを担う4つの法人の職員と久留米市議会議員、障害福祉課職員の皆さん13名で愛知県の基幹相談支援センターを始め、グループホーム等の視察をしました。

厚生労働省の元相談支援専門官の鈴木智敦さんに急にお願いをし、大人数の視察や懇親会の連絡調整、そして空港までのお迎えと多大な労力と気遣いをしていただきました。

初日は午前中、「社会福祉法人あさみどりの会」(愛知県名古屋市)の元理事長、島崎春樹先生のお話を伺おうと、「さわらび園」を訪ねました。島崎春樹先生は当法人の全ての建物の基本設計をされた方で、設立時には何度も法人に足を運び保護者の皆さんにお話などをしてくださった、法人にとっては大恩人です。

現在、島崎先生は82歳。「家族とともに、地域生活をめざした」歩みを語っていただきました。年齢の近い保護者で積み立てをし、その資金を元にスピーディにグループホームを立ち上げていること。もう一つは「ボランティアの心」を基本として援けあっていく、人と人とが信頼関係で繋がった「ゆるやかな共同体」を作っていること。これからは「自助」「互助」が必要となる世の中になります。「あさみどりの会」の精神は重要になってくるだろうと改めて思いました。

午後から、鈴木智敦さんが部長を務めておられる「社会福祉法人名古屋市総合リハビリテーション事業団」を視察させていただきました、事業団運営であり病院も併設なので、規模的にはとても大きい法人ですが、医者やリハビリ等の専門家がたくさんいらっしゃって今後の運営は大変だろうと思いました。そして、リハビリテーション医療を視察し、脳血管障害になった方等の職場復帰訓練にはとても有効だと思いましたし、久留米にもこのような事業所があると職場復帰される方も多くなるだろうなあと思いました。   (常務理事 馬場 篤子)

 

 

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あさみどりの会            名古屋リハビリテーションセンター 

 

 

今回の視察先は、全国でも先駆的に事業展開をされている事業所ばかり。久留米にはない目新しい取組み、その取組みが”まち”を変えていく実践の現場を見て、聞いて、感じることができました。

1日目、拓くの設立当初よりご支援いただいている「社会福祉法人 あさみどりの会」は、制度ばかりに頼るのではなく、子どもを始め保護者も助け合って生きていく力をつけていく必要がある。昔の村落共同体のように障害の有無関係なく自助で助け合っていくような、今の時代の「ゆるやかな共同体(大きな家族)」を基本的な考え方として取組まれていました。これからますます厳しくなる社会を乗り切るヒントがあるように思えました。

あさみどりの会のホーム17軒のうち1軒を視察。住宅地のど真ん中にあり、地上高、建築面積の制限から半地下構造になっており、限られた空間に6名が暮らすことを実現した建物でした。住居内は狭さを感じるものの至るところに収納スペースが設けてあり、工夫がちりばめられていました。コンパクトな空間がアットホーム感を生み、入居者には好評ということでした。

 

2日目、愛知県半田市の「社会福祉法人 むそう」のホーム2軒を視察。むそうは、強度行動障害や医療的ケアなど重度の障害児者の地域生活を支援する事業所として全国的に有名です。ホームには、強度行動障害のある入居者が多く暮らしておられ、自閉症の特性や個人の特性に合わせた住環境や支援がとても工夫されていました。

カードなど視覚的な構造化をしたり、クッション床、2重窓、刺激調整のための仕切り・目隠しなどを設けたり、ハード面でも様々な工夫がありました。特に、室内の破壊行動がある入居者の部屋は、壁紙やスイッチなどの刺激物を一切なくし、部屋に仕切りを入れて意味のある空間に細かく分けたことでご本人は落ち着かれているということでした。今後、ハード面の整備が必要となる場合に参考になる点ばかりでした。

この2日間、他法人の職員、市議、行政の皆さんと共に久留米のまちにとっての理想や必要なことを話し合い、共有できたことは、これから久留米市障害者基幹相談支援センターを立ち上げていく上でとても有意義だったと思います。  (本部長 浦川 直人)

 

 

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社会福祉法人 むそう(グループホームの外観) 戸枝さんとの意見交換 

 

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グループホーム(構造化された支援)

 

 

愛知県半田市の基幹相談支援センターの加藤センター長による研修は、これまで何度か拝聴し、相談支援についてとても分かりやすく教えていただいていました。

また、1月には徳山副センター長の講義もお聞きし、半田市基幹相談支援センターが全国でも先駆的な事業をなされていることを周知しておりましたので、この度、半田市の取組みを視察させていただきとても嬉しい思いです。

半田市は基幹相談を社会福祉協議会に委託しています。社会福祉協議会には事務局と地域包括支援センター、障害者基幹相談支援センター、ボランティアセンターが同居し、何かあれば同じ土俵に立って話し合いができるのです。月に1回、一緒に事例検討会を実施し、困難ケースや地域課題を共通の認識にしているということでした。

この同じ土俵に立った話し合いは、社協の建物内だけで行われるのではなく、小学校区でも行われるとお聞きし、地域包括ケアシステムが機能していることを実感しました。権利擁護については、これまでは座学や演習を取り入れた研修を定期的に行っておられましたが、サービス管理責任者や管理者の参加にとどまり、現場の方が研修に出にくいということもあって事業所に出向く研修方式をとり、昨年度は30ヵ所の事業所に赴き、計380人の方が受講されたということでした。やはり来てもらうということではなくアウトリーチの姿勢の大切さを学びました。

 

自立支援協議会の機能については、地域にある課題を一人のものだけにするのではなく、地域の課題として整理し、その解決を図ることが目的とされ、全国的に設置が目指されているところですが、半田市ではその体制が整備され、行政先導ではなく行政とセンターが協議して双方の温度差をなくし、関係機関を含めて主体的な取り組みができています。

自立支援協議会で大切なことは課題抽出と合意形成ということで、個別の支援会議からニーズや課題を抽出し、それを行政・センター・部会長が行う運営会議事務局で合意し、地域ニーズにあった研修会等を開催し人材育成を図っています。

また「就労」「住まい」「社会参加」「地域連携」「一人暮らし」「子ども」といった6つの部会を開催し、その中で主体的な活動がなされ地域の活力にもつながっていました。そして、この部会には行政職員やセンターの職員も複数人ずつ配置され、事業所や機関から自由に参加してもらって学び合っていました。

このような企画は単年ではなく長期的な取り組みをしていく必要があり、継続するからこそ必要とされる社会資源も見えてきますので、役割分担を意識した官民協働の取組みが今後の久留米市でもできたらと思います。  (相談支援センターカリブ 大力陽子)

 

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半田市基幹相談支援センター(朝礼の様子)

 

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名古屋市総合リハビリテーションセンター・名古屋市身体障害者更生相談所

 

 

6月7日(火)9時30分に名古屋国際空港を出発し、10時30分に「社会福祉法人あさみどりの会」のグループホーム「あらくさの家」に到着しました。GHあらくさの家は建ぺい率40%・容積率100%・高さ制限10mの3階建て、全6床で、エレベーターが設置され、半地下の一階がリビングになっており、お互いの顔が見える場所となっています。

続いてハウステンボスをイメージした建物の「さわらび園」へ移動、施設内を見学しました。前理事長の島崎春樹氏よりあさみどりの会の沿革を中心に、生きづらい大人にならないための予防として療育があるとし、会の存在を「大きな家族」と捉え、あくまでも制度は道具であり社会資源の中心に家族を置き、家族間のサポートにより自助・共助が生まれていると説明されました。

社会福祉法人あさみどりの会HP こちらへ → 

 

午後は名古屋市総合リハビリテーションセンターへ移動。名古屋市が全額出資し平成元年に設立されました。リハビリテーション病院の利用者は各地から来られており、それぞれの地域の社会資源とのつながりが弱いとのことでした。

名古屋市では平成26年度より一区に一ヵ所の基幹相談支援センターと地域活動センターを設置。リハセンターには1階に更生相談所があり、特に中途で障害を持った方で、どこにも繋がっていないがセンターの存在を知ったことから計画相談へ繋がっていくケースが多く、就労移行の利用は7割とのことでした。

名古屋市総合リハビリテーション事業団HP こちらへ →

 

6月8日(水)8時30分より「社会福祉法人半田市社会福祉協議会」を視察。全体朝礼の後、各部署でのミーティングが行われました。基幹相談支援センターでは、グループウェアの「デスクネッツ」でスタッフ全員のスケジュールを管理しておられます。

社協の強みとして、各地区担当を決めての縦割りではなく、いわば串刺しでの支援、つまり、障害・高齢・地域福祉・ボランティアの各地域担当者が連携して地域での福祉教育を実践され、障害の理解を進めておられました。

基幹相談支援センターでは、クラウドサービスでのスケジュール管理とは別に、支援記録ソフトを利用し記録を数値化して市に報告しておられます。グレーゾーンで引っかかってきた子どもの記録などライフステージで追えるため、記録は重要だと思います。

また、「半田市児童発達支援センターつくし学園」の地域支援事業として、「発達支援相談あゆみ」には、今年度より職員を出向。どのように社会資源を作るかが課題となっています。

基幹相談支援の役割は地域福祉の基礎整備(土台作り)とし、障害者・障害児のための地域生活支援拠点整備計画について平成26年から研修会を行い、半田市の課題解決に向けて何をしなければならないのかとの思いで、行政と同じ情報を共有して3年を目処に取り組んでおられました。さらに、自立支援協議会も組織的に運営されており、方向性を明確にして課題解決へ向かっているとのことでした。

半田市社会福祉協議会HP こちらへ → 

半田市障がい者相談支援センターHP こちらへ →

 

午後は「社会福祉法人むそう」が経営するアートスクエア内にある「中華茶房うんぷう」にて、戸枝陽基理事長より法人と半田市の障害者福祉の現状、課題についてお話を伺いました。

女性専用の「GHなかよしホーム」、男性専用の「GH hanabitaikai」を見学。積水ホームで改修をされたとのことで、利用者一人ひとりに合った支援を行うためそれぞれの建物に必要な改修を加えておられました。利用者の家賃は3〜4万円で月に必要な金額は7〜8万円。ヘルパーは主に日本福祉大学の学生がアルバイトで働いていました。福祉的な部分でのコンサルは長野の山口くみ氏、経営は鈴木なおや氏にお願いしているとのことでした。              (高田美紀)

社会福祉法人むそう HP こちらへ →

 

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「社会福祉法人むそう」アートスクエア

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