お知らせ (研修)

7月9日・10日の2日間、喀痰吸引等研修(第3号)を実施しました。受講者6名の皆さんは試験に合格。実地演習、実地研修へと新たな一歩を踏み出しました。

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7月9日(土)・10日(日)の2日間、「喀痰吸引等研修(第3号)」の基本研修を出会いの場ポレポレにて実施しました。当法人は、平成27年3月と7月、今年の2月に実施し、今回で4回目となります。

受講者6名の皆さんは、2日間で座学8時間と演習(シミュレーターによる演習)の1時間半、さらに筆記試験に合格して、実地演習、実地研修へと新たな一歩を踏み出しました。

「喀痰吸引等研修(第3号)」は、施設・居宅等において、介護職員等が特定の対象者へのみ、特定の医療行為を行える資格取得のための研修です。介護職員等が医療行為を行うための研修は、これとは別に、対象者を不特定にした、研修第1号、第2号があります。いずれも医療的ケアが必要な方たちの増加に伴い、「社会福祉士及び介護福祉士法」(昭和62年法律第30号)の一部改正により平成24年から始まりました。

研修第3号の特徴は、ALS(筋萎縮性側索硬化症)など重度障害者の方たちが「自分たちの生活を支える、個別の対応ができるマイヘルパーが必要」という切実な訴えのもと、成立した研修であることです。そのため、「重度障害児・者の地域生活等に関する講義」を始め、痰吸引や胃ろうなどの技術的なことはもちろん、障害特性や障害を持つ子どもへの注意点や対応などをしっかり勉強します。

 

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研修初日は9時30分からスタートし、昼食をはさんで、夕方5時まで座学がみっちり。受講生の皆さんは普段聞いたことのない医療器具の名称や馴染みのない人体の名称に戸惑いながらも、熱心に講師の杉本洋子さんの話に耳を傾けていました。

杉本さんは、普段は小規模多機能型居宅介護事業所「みなみの家」にて、看護師として従事され、重度障害の子どもたちのケアに尽力されています。講義はそういった体験談を踏まえてお話されるので、非常にわかりやすいと好評です。

とはいえ、二日目には試験があり、20問中9割正解しないと合格できません。再試があるものの、「大丈夫、これまで3回行った研修では、誰1人再試を受けた方はいませんよ」との事務局の言葉に、受講生の皆さんは少々安心されて、研修初日を終えられました。

 

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二日目の朝は、「やっぱり寝てしまった。試験が心配」と受講者のお一人。9時の開始前には席に座り、付箋を貼ったり、マーカーでびっしりチェックされたテキストを広げたりされている皆さんの姿が見られました。

2時間の座学の後、シミュレーター演習では、講師の手技を見逃すまいと顔を近づけ、「こよりを持つように」と具体的な講師の言葉に従い、恐る恐るカテーテルを人形の気管カニューレの中へ挿入。また、「鼻腔を傷つけないように」との言葉に、カテーテルを上向きに鼻へ挿入。皆さん、それぞれ自分が医療的ケアを行う当事者の方を想定して、人形を使った演習を終えました。

そして、いよいよ筆記試験の開始。張り詰めた空気の中、あっという間に30分が経ちました。「俺、3問、間違えたかも」と試験後にもらした方がいて、こちらもドキドキしましたが、無事、全員合格されました。

「300のヒヤリ・ハット(ハインリッヒの法則)を見過ごしたままにすると、重大な事故につながります。皆さんは危険察知能力を高め、利用者の方に寄り添って医療的ケアを行ってください」と、杉本講師のはなむけの言葉に身が引き締まる思いになります。

長い2日間が終わり、皆さん笑顔で会場を後にされました。志が高い介護士の誕生に事務局はいつも胸が熱くなります。どうか、現場でしっかり技術を身につけて、「マイヘルパー」として活躍してください。   (担当:田町 菜穂子)

 

※ハインリッヒの法則

1つの重大事故の背景には、29の軽微な事故があり、その背景には300の異常が存在するという法則です。