お知らせ (研修)

6月30日・7月1日、愛知県の南医療生活協同組合とNPO法人「くるくる」を視察しました。福祉の世界の重鎮から若者まで混ざり合った多世代の視察研修。多く人たちの力を結集した地域づくりの仕組みや心意気を、今後の取組みに活かしてまいります。

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南医療生協にて                   さわらび園にて座談会

 

6月30日(土)・7月1日(日)、愛知県刈谷市のNPO法人「くるくる」と名古屋市にある南医療生活協同組合(以下・南医療生協)を視察しました。

今回の視察は、2017年10月から今年3月まで取り組んだ国のモデル事業の成果を活かして、当法人職員2名の他に国のモデル事業プロジェクトに参加したまちづくりのプレイヤーも参加しました。参加者より研修の報告をいたします。

 

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今年2月20日に堀田聡子さん(慶応大学大学院教授)にご縁をいただいた「地域包括ケアイノベーションフォーラム」(東京)で、お互いに登壇者として出会ったのが、南医療生協の成瀬専務と大野参与です。

南医療生協は、医療・介護・福祉・暮らし・文化を地域の人々との協同で創り出しておられ、組合員総数86,614人、出資金総額30億7,818万円、67の事業ネットワーク、ボランティア630人登録(18年3月現状)と力を結集されています。その仕組みや心意気を学ぼうと企画し、今回は、社会福祉法人あさみどりの会 元理事長の島崎春樹さんを始め、福祉の世界の重鎮から当法人職員の29歳の若者 小川までが混ざり合った多世代の視察研修となりました。

 

6月30日(土) 1日目

1日目は、まず、NPO法人「くるくる」を視察しました。ここでは障害がある方の地域支援をしておられ、「どんなに重い障害があっても住み慣れた地域で安心して暮らせる社会を作りたい」という思いで、ホームヘルプ・就労支援・生活介護・ケアホームなどの事業を行っておられます。

その活動は、ワクワクドキドキ感のあるメニューで、運動や公文学習を導入。まさにビジネスライクで、ビジュアルを多用されているので分かりやすいと思いました。

また、若いスタッフが活躍されています。保護者や当事者の皆さんに人気だろうなあと思いました。

 

次に、南医療生協さんを訪問。フィットネスクラブや図書館が病院の中央に位置するという病院らしくない建物でした。そして、それを支える組合員活動は、「みんなちがってみんないい ひとりひとりのいのち輝くまちづくり」という価値を創りだすことに力を入れておられます。私たちは、「そうだそうだ」感動ばかり。友人たちに呼び掛けて、再び訪ねようと考えています。是非、皆さんも視察されることをお勧めします。

 

IMG_8785  南医療生協  病院・施設見学中

 

7月1日(日) 2日目

2日目は、あさみどりの会の「さわらび園」を会場に研修を行いました。

豊田市の社会福祉法人無門福祉会の阪田征彦さんより「農福連携」のお話をしていただきました。休耕地を借り受けて農業生産法人と連携し、自然栽培で米や野菜、果樹を生産。とても深い、心に残るお話でした。

社会福祉法人あさみどりの会 元理事長の島崎春樹さんもお話していただきました。

島崎さんは、2日目の研修を「青年教育のようだね」と仰っていました。というのは、今回のように少人数でも大勢でも顔を突き合わせてしっかり話をするという研修は、島崎さんが若かった頃、全国の福祉関係者の若者たちの集まりで行われていたスタイルなのです。しかも、フラットな関係の中で。

研修を終えた時、若い職員の小川が、同世代で東京在住の方について、「○○さんが、『つながって、いつか自分たちで何かやろう』言っていました」と興奮したように話していました。革命かな☆ 小川たち若者も、自己肯定感、そして希望も高まっていたようです。

(理事長 馬場 篤子)

 

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南医療生協理事長 喜多村 敬さん    社福)無門福祉会 理事  阪田 征彦さん

 

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あさみどりの会 元理事長  島崎 春樹さん  長久手市長 吉田 一平さん

 

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南医療生協「ひとりひとりの思いが花ひらく、おたがいさまのまちづくり」

 

南医療生協の視察では、地域住民が力を合わせていくことの大切さ、これからの社会の逆境にも負けない力強さを感じました。

南医療生協は、組合員自らが協同組合を通して12ブロックに地域自治組織の95支部があります。また支部の運営委員は「まちづくりのサポーター」として638名(17年度)が登録。市民が中心となって「地域の協同」を進めており、個別性や多様性のある課題を自ら考え解決していくことを実践しています。

また、組合員3人以上で班長を決めて結成する班会という活動があります。そこでは、楽しく、暮らしに役に立つような班会計画として、健康づくりや体操、お茶会などが計画実施され、自然と混ざり合いの場ができています。

 

おたがいさま運動の取り組み『ほどよいおせっかいで結ぶくらしの協同』

おたがいさま運動 その1「おたがいさまシート」の活用

南医療生協は、班によるおたがいさま運動を進め、おたがいさまで助け合えるまちづくりを進めています。

「おたがいさまシート」があり、これに困りごとやお願いごとなどを書いて、地域のささえあいセンターに持参すると、班や事業所が対応します。解決率は90%と高い実績になっており、主な相談内容としては暮らしの不安、身辺改善、受診・治療などです。

住民が住民の力で、課題を解決していくことを実践!

「1人の困った」に寄り添うと、結果、みんなが助かる!

 

おたがいさま運動 その2「おたがいさまの家」

「おたがいさまの家」はサービス付き高齢者向け住宅です。NPO登録で南医療生協から独立しており、空き家活用も資金集めもすべて組合員が運営しています。自治体とも契約しており、ミニデイ、訪問、サロンなど様々な事業を展開しています。

 

このように、南医療生協の総合的な地域医療とは、医療の場は病院・診療所だけでなく、暮らしそのものであること、暮らしまるごと支えあう医療を目指していること。そのためには地域と事業所の協同の力が大切であり、行政・NPO・他の事業所などあらゆる人々が手をつなぐことが重要と学びました。「誰もが地域の担い手」となれること、我が町のことを自分たちで考えていくことでより良い地域につながっていくと強く実感。今後の取り組みに生かしていこうと思います。(小川 真太朗)

 

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「おたがいさまセンター ちゃっと」

有料のチケットを導入し、困りごとがある高齢者と手助けができるボランティアをつなぐ。