社会福祉法人 拓く

イベント・研修 (研修)

10月15日、厚生労働省モデル事業 久留米コンソーシアムと当法人主催による「地域通貨とファンドレイジング学習会」を実施しました。講師は、龍谷大学政策学部准教授の深尾昌峰さんです。市民が「社会的投資」を通して地域課題に関心を持ち、主体的に課題解決に取り組むことの大切さを学ぶ機会となりました。

写真①

 

10月15日、社会福祉協議会大会議室にて実施した同学習会には、市役所や社会福祉協議会の皆様もたくさんご参加いただきました。

講師の深尾昌峰さんは、「社会的投資の仕組みを創り出す会社」を掲げるプラスソーシャルインベストメント株式会社(京都市)の代表取締役会長も務め、地域の社会的課題を解決するために「社会的投資」というこれからの領域を切り拓くリーダーです。今回、「地域が地域でありつづけるためには」をテーマに、ご講演いただきました。

 

講演の中で、心に残った点を紹介します。

 

・これから地域を持続可能にしていくためには、お金の流れを中心に、人の豊かさをどう実感したらよいかと考え、地域に必要なことをみんなで作るという点を軸にしていき、市民でお金を作り市民が基本財団を作っていかなければ、現状ではお金は回らない。「社会的投資」ができる金融機能も、まだ地域の中にはあまりない。

・現代社会が次々と変わっていく中、20年後の日本は、社会保障を税金で賄う必要があるが、日本の人口は減り、政府は何もしてはくれないから、今大事なことは地域と関わり、お金の循環や関係性も地域で考えていく時代になっている。

・市民も行政が出来る範囲を理解し、市民や社会をよくしていこうと取り組む団体を応援する仕組みを一緒に考え、問題はみんなで解決して、地域のための財団を作り、地域の寄付をぐるぐる回すコミュニティ財団が大切。

・「社会的投資」も、今、世界的に変わってきており、環境を考える投資や地域エネルギーを考える投資が増えてきている。

 

ご講演をお聞きして、「私たちが本気で社会を変える」という気持ちを持ち、政策や企業のアンプとスピーカーの役割が出来る担い手になることが大切だと感じました。

最後に、日本には地域に寄付をしたい人も投資をしたい人も沢山いるが、受け皿も少なく、やり方が分からない人も沢山いるとのことでした。それをもっと分かりやすく、やりやすくすることと、地域通貨やファンドレイジングを、具体的に自分たちでやってみることが大切で、そしてそのことが地域でお金を循環させる第一歩だと思いました。(井元 ひとみ)

 

line_1192028237795100

 

 

10月1日、滋賀県東近江圏域働き・暮らし応援センター「Tekito-」センター長の野々村光子さんを講師に、全体スタッフ研修会を実施しました。講演テーマは、「10年後の彼を見つめた就労支援 〜未来への下ごしらえ〜」。「働きもん」の物語の一つひとつを心に留めて、明日からの実践に役立ててまいります。

IMG_9639IMG_9632

 

10月1日(火)16時30分より、出会いの場ポレポレにて全体スタッフ研修会を実施しました。

滋賀県にある東近江域働き・暮らし応援センター「Tekito-」は、障がいのある人や引きこもりの人を貴重な地域の担い手として掘り起こし、「働く」ことにこだわった取り組みを実践されています。

今回、講師としてお招きした野々村光子さんは、2014年度総務大臣表彰「ふるさとづくり大賞」を受賞。各地の講演会でも活躍されています。

当日は、法人のスタッフを始めとして、地元企業や大牟田市行政の皆様が参加され、「働くことは単なる作業ではなく、生きる力を育むステージ」と熱く語る野々村さんのお話に聞き入っておられました。

 

 2006年に同センターを立ち上げた野々村さんは、「働きたい」とそこにやって来る彼らを「働きもん」と呼びます。彼らの引きこもり平均年数は25年。しかし、「彼らの引きこもっていた時間を否定するのではなく、『あなたはカッコイイ』とすごい点を発見することから」と捉え直し、「明日、明後日ではなく、10年後に働いていることを応援したい」と語ります。そして、多くの働きもんたちを「地域に帰していこう」と駆け廻り、当初は10社程度だった企業との付き合いも今では約700社となり、企業も地域も変わりつつあるとのことでした。

 

最後に、この仕事の「原点」として披露されたのが、給料を「500円硬貨」に全て両替して大量に持ち歩く「働きもん」の物語。通勤の際、その重さで腰が曲がった姿を見かねて、事業主と野々村さんが「全部を両替しなくても、お金のキングは1万円札なのだから」と諭しても、ご本人は「大丈夫。500円がいい」と。後日談で、母の入院先に見舞いで通うバス代と花代できっかり500円なのだと知り、「500円硬貨に至るまで。そこに彼の物語があると分かりました。うまいこといかん人の人生をみられる、この仕事はいいなと思っています」と講演を締め括りました。 

 

IMG_9665!cid_8E754E0E-04E1-4045-BA85-2F694B5AEB9C

 

参加したスタッフの感想を紹介します。

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「働きたい」を現実に向けての取り組みとして、すぐに雇用という形からではなく見学からスタートさせてくれる企業の方へアプローチし、就労につなげていく取り組みや「働きたい」という人と地域の中の課題・困りごとを繋げた取り組み、「働きたい」の奥にあるものを見つめた支援、その言葉の裏には何があるのかと考え一緒に応援していくなど、全ては利用者の方のために全力でぶつかって受け止め取り組んでおられる姿勢にはとてもパワーと愛を感じました。

この研修会を受け、私たちはどのように向き合い、どのような支援を行っていけばいいのか、再度見つめなおし前向きに取り組んでいきたいと思います。 (出会いの場ポレポレ 野上 真紀子)

 

福祉の仕事は未経験で入社し、右も左もわからずに利用者さんに対しての接し方などいろいろ悩むことありますが、「未経験こそ武器になるから、分からないことは利用者さんに聞くといい!」という言葉を聞いて背中を押されたような気がしました。利用者さんにとって働くということがやりがい・生きがいになるように少しでも手助けできたらいいと思いました。 (「出会いの場ポレポレ」スタッフ)

 

「ゆとりが大事」。その言葉を聞いて自分自身を振り返りました。 (「出会いの場ポレポレ」スタッフ)

 

かっこよく働くこと、仕事の目的意識を高く持つという原点に立ち返ることができました。人手不足と嘆かず、個性を生かす工夫をし、今後に繋げていきたいと思いました。 (「夢工房」スタッフ)

 

自分が生きてきた中での常識で物事を判断してきましたが、こんな見方・こんな考え方を出してもいいんだと、ある意味ほっとしました。誰にでもその人の得意があり、それを見つけ「働く」に繋げればと思いました。 (「夢工房」スタッフ)

 

野々村さんが人のいいところを楽しそうに話をされていて、とても前向きに仕事をされてすばらしいなぁと思いました。その人のもっといいところを見て、前向きな取り組みをしていこうと思いました。(「GH」スタッフ)

 

!cid_27FF77E8-01A4-4B60-AD90-00DBCD8529EE

 

 

 

 

4月、当法人と久留米市手をつなぐ育成会の共催で、「障害がある人への意思決定支援~SDMから学ぶ『その人らしい』生活を支援するには~」をテーマに研修会を開催しました。どのような障害があっても「その人らしさ」が発揮できる環境づくりを目指したいと思います。

5

 

4月25日(木)、久留米市総合福祉センターを会場に、本間奈美さん(一般社団法人SADO Act/新潟県 佐渡市)を講師にお招きして、「障害がある人への意思決定支援~SDMから学ぶ『その人らしい』生活を支援するには~」と題した研修会を、拓くと久留米市手をつなぐ育成会の共催で開催しました。約80名が研修会に参加され、意思決定支援への関心の高さが伺えます。

研修は、人権の話からスタートし、知的なハンディがある方たちの意思決定について、オーストラリアの先駆的な事例を交えて学びました。後半はトーキングマットという、カードを使った意思表示についてロールプレイをしました。

 

2

 

研修の中で、意思決定支援とは、

〇自ら意思を決定することが困難な方が、日常・社会生活で自らの意思が反映された生活を送ることができるように、可能な限り本人が自ら意思決定できるよう支援すること。

〇『本人中心主義』を基本視点とし、ご本人が自己決定できるようにベストチャンスが与えられる環境づくりが大切。

①  ふさわしい環境や時期であるか

②  十分な時間・情報・明確な選択肢が与えられているか

③  本人の理解しやすい形で情報提供されているか

④  利益・不利益など予想される結果を見通して論議しているか

⑤  毎日の暮らしの中にあるさまざまな選択を自分の意思で決定し、それを積み重ねていくことが「その人らしさ」、「その人らしい生活」だと学びました。

 

13

 

私たちが一緒に過ごしている重度の知的なハンディがある方は、わずかな表情や体の動きや変化など体いっぱい使って意思を表現されています。私たちは、その小さな意思表示を見逃さずに何を伝えようとされているのかを考え、確認し合いながら支援していくことはもちろんのこと、もっと意思を表現・理解しやすいように言葉を写真や絵をつかったりして、コミュニケーション手段を常に考えていくことが必要だと感じました。 

もっと「ご本人を知る」こと。ご本人の意思の真意をくみ取り、メリットもデメリットも受け入れて一緒に悩み考え、伴走していく側の力量・心構えが必要です(特に支援者)。

私たちをはじめ、家族や関わりを持つ人たちが利用者の皆さんにとって意思を伝えられる相手であり、それを受けとめられる一員でいることができるようにと思っています。又、どのような利用者の皆さんであっても、ベストチャンスが得られる環境づくりを目指したいと思います。(武田麻衣子)

 

 

6月30日・7月1日、愛知県の南医療生活協同組合とNPO法人「くるくる」を視察しました。福祉の世界の重鎮から若者まで混ざり合った多世代の視察研修。多く人たちの力を結集した地域づくりの仕組みや心意気を、今後の取組みに活かしてまいります。

 IMG_8706 IMG_8823

南医療生協にて                   さわらび園にて座談会

 

6月30日(土)・7月1日(日)、愛知県刈谷市のNPO法人「くるくる」と名古屋市にある南医療生活協同組合(以下・南医療生協)を視察しました。

今回の視察は、2017年10月から今年3月まで取り組んだ国のモデル事業の成果を活かして、当法人職員2名の他に国のモデル事業プロジェクトに参加したまちづくりのプレイヤーも参加しました。参加者より研修の報告をいたします。

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

今年2月20日に堀田聡子さん(慶応大学大学院教授)にご縁をいただいた「地域包括ケアイノベーションフォーラム」(東京)で、お互いに登壇者として出会ったのが、南医療生協の成瀬専務と大野参与です。

南医療生協は、医療・介護・福祉・暮らし・文化を地域の人々との協同で創り出しておられ、組合員総数86,614人、出資金総額30億7,818万円、67の事業ネットワーク、ボランティア630人登録(18年3月現状)と力を結集されています。その仕組みや心意気を学ぼうと企画し、今回は、社会福祉法人あさみどりの会 元理事長の島崎春樹さんを始め、福祉の世界の重鎮から当法人職員の29歳の若者 小川までが混ざり合った多世代の視察研修となりました。

 

6月30日(土) 1日目

1日目は、まず、NPO法人「くるくる」を視察しました。ここでは障害がある方の地域支援をしておられ、「どんなに重い障害があっても住み慣れた地域で安心して暮らせる社会を作りたい」という思いで、ホームヘルプ・就労支援・生活介護・ケアホームなどの事業を行っておられます。

その活動は、ワクワクドキドキ感のあるメニューで、運動や公文学習を導入。まさにビジネスライクで、ビジュアルを多用されているので分かりやすいと思いました。

また、若いスタッフが活躍されています。保護者や当事者の皆さんに人気だろうなあと思いました。

 

次に、南医療生協さんを訪問。フィットネスクラブや図書館が病院の中央に位置するという病院らしくない建物でした。そして、それを支える組合員活動は、「みんなちがってみんないい ひとりひとりのいのち輝くまちづくり」という価値を創りだすことに力を入れておられます。私たちは、「そうだそうだ」感動ばかり。友人たちに呼び掛けて、再び訪ねようと考えています。是非、皆さんも視察されることをお勧めします。

 

IMG_8785  南医療生協  病院・施設見学中

 

7月1日(日) 2日目

2日目は、あさみどりの会の「さわらび園」を会場に研修を行いました。

豊田市の社会福祉法人無門福祉会の阪田征彦さんより「農福連携」のお話をしていただきました。休耕地を借り受けて農業生産法人と連携し、自然栽培で米や野菜、果樹を生産。とても深い、心に残るお話でした。

社会福祉法人あさみどりの会 元理事長の島崎春樹さんもお話していただきました。

島崎さんは、2日目の研修を「青年教育のようだね」と仰っていました。というのは、今回のように少人数でも大勢でも顔を突き合わせてしっかり話をするという研修は、島崎さんが若かった頃、全国の福祉関係者の若者たちの集まりで行われていたスタイルなのです。しかも、フラットな関係の中で。

研修を終えた時、若い職員の小川が、同世代で東京在住の方について、「○○さんが、『つながって、いつか自分たちで何かやろう』言っていました」と興奮したように話していました。革命かな☆ 小川たち若者も、自己肯定感、そして希望も高まっていたようです。

(理事長 馬場 篤子)

 

IMG_8794   IMG_8822

南医療生協理事長 喜多村 敬さん    社福)無門福祉会 理事  阪田 征彦さん

 

IMG_8809 IMG_8806

あさみどりの会 元理事長  島崎 春樹さん  長久手市長 吉田 一平さん

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

南医療生協「ひとりひとりの思いが花ひらく、おたがいさまのまちづくり」

 

南医療生協の視察では、地域住民が力を合わせていくことの大切さ、これからの社会の逆境にも負けない力強さを感じました。

南医療生協は、組合員自らが協同組合を通して12ブロックに地域自治組織の95支部があります。また支部の運営委員は「まちづくりのサポーター」として638名(17年度)が登録。市民が中心となって「地域の協同」を進めており、個別性や多様性のある課題を自ら考え解決していくことを実践しています。

また、組合員3人以上で班長を決めて結成する班会という活動があります。そこでは、楽しく、暮らしに役に立つような班会計画として、健康づくりや体操、お茶会などが計画実施され、自然と混ざり合いの場ができています。

 

おたがいさま運動の取り組み『ほどよいおせっかいで結ぶくらしの協同』

おたがいさま運動 その1「おたがいさまシート」の活用

南医療生協は、班によるおたがいさま運動を進め、おたがいさまで助け合えるまちづくりを進めています。

「おたがいさまシート」があり、これに困りごとやお願いごとなどを書いて、地域のささえあいセンターに持参すると、班や事業所が対応します。解決率は90%と高い実績になっており、主な相談内容としては暮らしの不安、身辺改善、受診・治療などです。

住民が住民の力で、課題を解決していくことを実践!

「1人の困った」に寄り添うと、結果、みんなが助かる!

 

おたがいさま運動 その2「おたがいさまの家」

「おたがいさまの家」はサービス付き高齢者向け住宅です。NPO登録で南医療生協から独立しており、空き家活用も資金集めもすべて組合員が運営しています。自治体とも契約しており、ミニデイ、訪問、サロンなど様々な事業を展開しています。

 

このように、南医療生協の総合的な地域医療とは、医療の場は病院・診療所だけでなく、暮らしそのものであること、暮らしまるごと支えあう医療を目指していること。そのためには地域と事業所の協同の力が大切であり、行政・NPO・他の事業所などあらゆる人々が手をつなぐことが重要と学びました。「誰もが地域の担い手」となれること、我が町のことを自分たちで考えていくことでより良い地域につながっていくと強く実感。今後の取り組みに生かしていこうと思います。(小川 真太朗)

 

b

「おたがいさまセンター ちゃっと」

有料のチケットを導入し、困りごとがある高齢者と手助けができるボランティアをつなぐ。

 

7月14日、「第15回日本グループホーム学会 全国大会 in あいち」に参加しました。グループホームは、正念場!第10回大会で掲げたテーマ(理念)「混ざり合って暮らす そげなまちにするばい」に今一度立ち返り、真剣に取り組んでいきたいと思います。

5

 

7月14日(土)、愛知県大府市勤労文化会館にて開催された「第15回日本グループホーム学会 全国大会inあいち」に参加しました。主催は障害のある人と援助者でつくる日本グループホーム学会です。テーマは「つながり合う地域~どう暮らしたい?どう支える?これからのグループホームで~」。

全国から400名を超える参加者が集い、度重なる制度改正で次々に変容するグループホームのあり方を制度運用だけではなく、改めて生活者の視点で考える機会となりました。

研修に参加した職員のレポートを紹介します。

 

02

 

2013年、第10回日本グループホーム学会福岡大会を久留米に誘致。

 

振り返れば、今から5年前の2013年、日本グループホーム学会の全国大会を第10回大会として久留米市に誘致し、当法人が事務局を務めて開催しました。筋ジストロフィーという難病を患っている塚崎修平さんが実行委員長に就任。大会の挨拶で使う彼の映像にこだわり、当日の朝、それも開会ぎりぎりにでき上がったのを、昨日のことのように懐かしく思い出しています。この大会をきっかけに塚崎さんの仲間が結束を固め、ハードルがいっぱいある塚崎さんが一人暮らしを始めるきっかけにもなった大会です。

 

グループホーム学会との出会いは約10年前。北海道伊達市の小林繁一さんより九州に学会委員がいないので、学会委員を担って学会を開催してほしいと依頼がありました。福岡市のリーダー的存在の進藤施設長と話し合いをし、グループホーム学会は九州に上陸したのです。

第8回の岡山大会にて、福岡県久留米市での開催に手をあげ、第9回岩手大会には当法人の利用者さんと保護者ら大勢で東日本大震災の被災地岩手へ行き、福岡大会開催に向けて、みんなで充電しました。グループホーム学会には、毎年、数名の職員や保護者、障害当事者の方々を誘って参加しています。この大会に参加すると初心や大切なものに立ち返ることができるからです。そして、グループホームが地域づくりの拠点になる、グループホームそのものがまちを創っていく…。そんな希望に燃え、多くの当事者や施設団体等に呼びかけて実行委員会を結成し、2年間かけて内容をつめていきました。

 

そして、2013年6月29日・30日、ホテルニュープラザにて、「第10回日本グループホーム学会福岡大会inくるめ」を開催。テーマは「混ざり合って暮らす そげなまちにするばい」でした。障害があっても、高齢になっても、住みたい場所で自分らしく暮らし続けたい。それを実現するためにはどのような支援や制度、地域のあり方、環境整備が必要なのか。また、お互いに支え合い、混ざり合いながら暮らすためのヒントを探るために、2つのシンポジウム「知ってみよう 混ざり合う暮らし方」「こんな暮らしをしたい!を実現するために」を実施しました。

 

 img_forum05  a

2013年開催「第10回日本グループホーム学会福岡大会inくるめ」

 

第10回大会は分岐点でした。会場は800人の参加者で活気あふれる大会だったのですが、一方で、国はグループホームの定員増、高齢者の認知症グループホームのように、昼・夜一緒の施設化の方向に舵を切り始めていました。当然、その流れの中でグループホーム学会の学会員も分断されていきました。

同時に2012年から指導監査が強まり、個別支援計画に、あるいは時間に管理され、支援者が管理するという流れが強まりました。サービスの提供側とサービスを受ける側との対立構造は強まり、相互にエンパワーされる環境は無くなっていったのです。しかし、国のせいにするばかりではいけません。私たちこそ制度に振り回されるばかりで、思考もせず、異領域とも住民とも連帯せずに、第10回大会で掲げた「混ざり合って暮らす そげなまちにするばい」というテーマ(理念)を失いつつあったのかもしれません。

 

「もうひとつの家」「一人暮らし」「お互いさまの財産管理」に真剣に取り組む

 

今回、第15回大会に参加し、さすがだと思いました。大会の特別講演として、南医療生活協同組合の大野京子さんが、「ささえあい、たすけあい、おたがいさまのまちづくり」というテーマで講演。その中で、多くの組合員一人ひとりの違いを認めながら、力を合わせてたくましく道を拓いてこられた取り組みをお聞きしました。大野さんに初めてお会いしたのは今年の2月です。そしてこの大会の2週間前に南医療生協を実際に視察し、そして今回3度目のお話、しっかり胸に刻むことができました。特に、2003年より地域や病院・介護施設などで実施されている活動は無償ボランティアに踏み切り、有償ボランティアの時より人数が増えたとのこと。この点もとても勉強になりました。南医療生協とのこのタイミングでの出会いは運命の赤い糸とも思えます。

 

第15回大会会場では、グループホーム学会代表の光増昌久さん、事務局長の室津滋樹さん、西宮社共の清水明彦さんを会場でお見かけしました。私を含めて誰もが年を重ね、おまけにみんな病気を抱え、体力・能力ともに落ちているでしょうが、困難な時代だからこそ、底力で生き抜こうとされていると思いますし、お話をすることはありませんでしたが、元気をいただきました。

これから当法人も、第10回大会で掲げたテーマ(理念)に今一度立ち返り、「混ざり合って暮らす そげなまちにするばい」に向かって、制度に振り回されることなく、「もうひとつの家」「一人暮らし」「お互いさまの財産管理」について、真剣に取り組んでいきたいと思います。             (理事長 馬場 篤子)

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

6 第15回大会 懇親会会場

 

「3人からの班」がまちの困りごとを解決していくまちづくり

 

今年の日本グループホーム(以下・GH)学会の基調講演は、南医療生協(愛知県)の取り組みでした。南医療生協は、理念「みんなちがってみんないい、ひとりひとりのいのち輝くまちづくり」のもと、暮らし丸ごとを応援する総合的地域医療の拠点として住民の自主活動を応援することで、地域に安心感をつくっていくことにこだわっています。

8万6千人を超える組合員さんが、行政や生協に頼ることなく「お互い様」の関係の中で「自分たちのことは自分たちでやっていこう」と、すべて無償ボランティアで多様な地域活動を自発的にどんどん起こしています。

「お互い様運動」は、「1人の困りごとはみんなの困りごと」として、組合員さんや困りごとに気付いた住民から出される「お互い様シート」に1つ1つ取り組んでいきます。例えば、「近所のスーパーが無くなるので困った」とシートが出されたら、移動販売ができる八百屋や惣菜も販売する豆腐屋を住民たちが見つけ出し、すぐにマッチングさせます。

これからのまちづくりで大切なのは、小さい単位のコミュニティづくりということで、南医療生協は最低3人から始められる「班」という単位で活動しています。「3人からの班」がまちの困りごとを解決していっているのです。今では1200を超える班が生まれて、活動しています。地域の拠点がどんどん立ち上がり経営もやっていく、そんな住民が主体的にまちをつくっていく文化ができています。久留米にとっても、どうやってこのような文化をつくっていけるか、法人としてどう一端を担っていけるのか、考えていきたいと思います。

 

相互のエンパワメントからの共生

 

特別講演は、「相互エンパワメントからの共生」と題して、NPО法人おおさか地域生活ネットワーク理事長 北野誠一さんによる講演でした。その中で、GHでの暮らしで根源的に大切なものは、GHの外観や設備、食事の内容ではなく「エンパワメント」であり、「エンパワメント=生活主体者としてともに生きる価値を高めること」。また、エンパワメントは個人の問題、努力という話ではなく、人と人との関係性の間に生まれるものであり、誰か能力等を引き上げるというような一方的なものではなく、共に生きる物語を共に紡いでいくような相互のエンパワメントが必要であると話されました。

当法人が運営するGHはどうだろうか、入居されている方は生活の主体者になれているだろうか、世話人が生活をコントロールしていないだろうか。今一度、相互のエンパワメントの視点をもってGHの運営を見直さなければならないと感じました。

 

人口減少社会に備えてどうするか

 

今回、南医療生協の基調講演でも、他の講座でも「地域との関わり」がキーワードとして何度も出てきました。暮らしを支えるGH、その中でその人らしく、職員と共に相互にエンパワメントしていく暮らしを実現するためには、制度だけに頼った暮らしでは限界があり、地域住民と混ざり合い、インフォーマルな支え合いもありながら支えていくことが大切だというメッセージだったと思います。

 

懇親会では、GHに入居されている当事者、学会の運営委員さんなど多くの人たちと意見交換をすることができました。学会の方との意見交換の中で印象的だったのは、「いくら制度、制度といっていても、人口減少が進めば事業所は潰れていかざるを得ない。すでに小さいまちでは潰れていっているところもある。人口減少という社会的要因は予想以上に大きく影響するはず。まちと生き残っていくことをしっかりと考えなければいけない時代になってきている」と話された点です。法人として、どう対処していくか、先を見ながらもしっかりと考えていきたいと思います。(本部長 浦川 直人)

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「見えないバリア」を取り払っていくよう働きかけたい

 

今回のグループホーム学会では、「地域共生」ということがピックアップされて語られていたのが印象的でした。特に、北野誠一さんの講演「相互エンパワメントからの共生」はとても印象深く残りました。
福祉サービスや環境整備の充実が目まぐるしく進んで行く一方、福祉サービスは「仕事」という定義が強くなっている気がしています。そのような状態では、お互いに「ケアする、される」という関係性になってしまいます。お互いが支え合い、ワクワクするような関係性を作るためには、ケアだけの一方向の思考では本人の思いを活かす事はできないように感じました。

講演では、その思考を含めて、相互作用を妨げる「見えないバリア」がある状態と称していました。「見えないバリア」は福祉だけでなく、医療、教育、そして地域、どんな分野にも起こりうります。疾患や障害があろうとなかろうと、みんな「主体的に生活を送りたい」ものです。まずは自分の中に「見えないバリア」が発生してないかを振り返り、配慮と本人の思いのバランスを意識して、一緒に生活をつくっていく気持ちをもつことが必要ではないかと思います。

これから法改正が進み、福祉を取り巻く環境が変わっていく中、地域でどう共生していくかを考える事が急務となっています。「地域と一緒にワクワクできているか?」「その中に、ちゃんと、拓くは、いるか?」。きっと「見えないバリア」は至るところにあると思いますが、私たちはそれを取り払っていくよう働きかけたい。そう感じさせる今回の研修でした。  (姫野 健太)