お知らせ (研修)

1月、「ふわりんクルージョン2016(東京・秋葉原)」に参加しました。「すべての人が輝く地域包括ケア ~地域密着で輝く命~」をテーマに研修しました。

0001 ふわりんクルージョン2016→詳細はこちらへ

 

1月30日(土)・31日(日)、当法人は、秋葉原コンベンションホール(東京都)にて開催された「ふわりんクルージョン2016 すべての人が輝く地域包括ケア ~地域密着で輝く命~」に参加しました。2日間にわたる各分科会には多彩な講師が登場し、地域包括ケアについて大いに学ぶ機会となりました。ここで、参加者のレポートをご紹介します。

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この「ふわりんクルージョン」を企画運営している戸枝陽基さんとの出会いは、2002年6月。「地域支援」を開始する時に、知多半島にある戸枝さんの運営する「ふわり」へ伺いました。

彼は私より一回りほど年が若いのですが、頭が良く、とてもバイタリティがあり、地域にこだわった生産活動の「飲食業」「農業」「強度行動障害」「医療的依存度の高い方」「暮らしの支援」と、いずれも先駆的に切り拓いてこられました。また、日本福祉大学の学生バイトをはじめ、若き職員たち。新しい感覚で、躍動が感じられます。さらに、時代に必要な研修会を「オールジャパン」で開催されています。

年代は違うのですが、戸枝さんの考え方に共感することが多いです。そのひとつに、専門家は直接支援というより、「地域住民」と「障害当事者」をつなぐということが、支援では重要ということです。支援者がますます少なくなる社会の中で、ポイントになる考えだと捉えています。

 

今回の「ふわりんクルージョン」は、確か3回目。初回は、当法人も医療依存の高い方の支援を始めようとした頃で、懇親会で語り合おうと、当法人のスタッフが3次会まで参加しました。

医療的ケアを実際にされている東京事業所の3階は、エレベーターもなく狭い階段を上らなければいけませんでしたが、ここで、野田聖子衆議院議員の子どもさんを始め、医療依存度の高い方の支援をされているのだとお聞きして驚き、感動しました。

現在は医療が発達しているため、スペシャルニーズ(超重症児)の子どもたちが増え、地域で暮らしていくために、看護師や介護士の育成や支える法律、制度、インフラ整備が急がれます。そこで、彼は東京に事業所を出し、愛知県の知多から週2回東京に通って事業所を運営し、しかも様々な研修会を企画しながら、運動を展開されているのです。

今回は、久留米市役所から健康福祉部総務、総合政策部の2名の職員、そして藤林市議、秋永市議が、「医療依存度の高い子どもの在宅ケア」「小規模多機能自治と地域包括ケア」「発達障害のある生活困窮者支援」について学ぶために参加されました。

会場では、困窮者自立支援法を中心的に創られた熊木正人さん(厚労省企画官)と直接お話をする機会をいただきました。分科会には企業や社協、NPO法人など、各地で時代を切り拓いている方々が登壇されており、大変勉強になりました。   (常務理事 馬場 篤子)

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私が参加した第4分科会は「地域密着のまちづくり」というテーマでした。地域密着で働く理想の形が濱野まり子さん(ディスカバーリンクせとうち 尾道デニムプロジェクト)の働き方にあります。講演で流された映像(NHK「U-29:人生のデザイン」)出演の濱野まり子さんが素敵だったので、会場は福祉職で働き始めたばかりの若い人たちで溢れました。

日本は超少子高齢化社会になり、人口減少、労働人口減少となる中で、公助から自助へ大きく方向転換を余儀なくされています。一方では家族や地域の繋がりが貧弱になることで、社会的困窮者を生み出し、人間関係を構築できない事が生活困窮・経済的困窮に陥る大きな原因ともいえます。制度の枠では解決できない、誰もが支え支えられる地域の構築、社会の実現を目指そうと、大きな課題を突き付けられているのです。

そんなお話の中、町づくりの魅力とヒントが、生き生きと働く濱野まり子さんから伝わってきました。彼女は、尾道で働く方々がワークパンツとしてデニムをはき続けるユーズドデニムを育て、尾道の魅力を世界に発信しようと作られたプロジェクトのチームリーダー。23歳、プロジェクトの魅力に引き寄せられ神奈川から移住。デニムをはく人達一人一人の職業を知り、人を知り、町に溶け込み繋がっていき1本のデニムを育てる。その一本一本のデニムのストーリーを大切に思う彼女の姿と働き方に私は共感し、勇気と町づくりのヒントを貰いました。

地域づくりはまず地域を知ること。どんな問題を抱え何に困っているのかを知らないと必要な事が見えてこない。一人の困りごととは言っても、ひょっとして他にも同じ困りごとを抱えている人がいるかもしれない。地域の課題は地域によって違うので、それを地域みんなの共有の課題にしていく。諦めずに続けていくこと。繋がり合うことが大切で、これは時間のかかる仕事ですが、次はより広い範囲で課題を持ち寄り話し合うことへ。

この分科会に参加して、濱野さんの仕事ぶりに心揺れた福祉に携わる若い人たちが、自分でやりたいと思う事、心揺れる仕事を諦めずにやり続ける事が大切だと思いました。福祉の仕事は、やれない人にはやれない。特別な人たちにしかできない誇りがある仕事。自信を持ってキラキラと働いてほしいなあと思いました。  (御井あんだんて 森田 さかえ)

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2日目の「生活困窮者自立支援法自立相談支援事業従事者養成研修の中心メンバーがむそうの発達障害者研修を受けてみました!~生活困窮者って支援の不足した発達障害者の成れの果て?」という内容の分科会に参加しました。

発達障害とは社会性やコミュニケーションの障害で、支援する側もうまく関われず、介入が難しいのではないかと思っていた時に、支援者が、7daysという発達障害者の立場になった研修を受講し、脳の機能障害を知るチャートに支援者自身をあてはめて検証してみたところ、実は私たちも発達障害者だったのでは?と思えるほどの結果が色濃く表れ驚いてしまった。しかし、個性は強ければ強い方がよいのではないかと思い、色々と悩んできたことが納得という形で気持ちが楽になりいい支援が出来るようになったそうです。

発達障害者との関わりについては、不適切な介入や介入をしない状態だと今まで積み上げてきた体験に頼り、自己流(本能的)の解釈をしてしまいます、そうなると、さらに孤立した状態となり、社会的自立から遠のいてしまい、「孤立」となります。適切に介入できれば、安心や満足感が得られ支援を活用していくことで社会的に自立していき、「共存」へ移行できて生活困窮者ではなくなっていくのです。

つまり、社会性やコミュニケーションが不足してしまうと就業が難しく、生活困窮者へ移行してしまいます。支援者が適切に介入し社会へとつないでいくことが急務。たくさんの方々の関わりや支えがあることにより孤立を防ぐことで、生活困窮者が減っていくとのお話でした。

 

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最後に、就業の方法として、Aさんを参考としたお話がありました。

Aさん:入力がとても得意ですが、電話の音が苦手。事務所で作業をしていましたが能力が発揮できていない為、就業アドバイザーが会社へお願いし、事務室ではなく静かな書庫で作業ができるよう環境を整えたところ、他の方の3倍速く正確に入力処理でき、会社に貢献することができるようになりました。

このように会社にAさんの情報を正確に伝え環境を整えることにより、Aさんの実力がフルに発揮され長期的に就業が可能になり生活が豊かになります。就業先の方を巻き込む事により安定した支援を築くことが出来ます。

就業先を決めるにあたっては、必ず担当者が就業する方の仕事先で、1日かけて就業時間を共に過ごし職場の方々とより密接なコミュニケーションをとることが大切なポイントとなり、色々なお願いもしやすくなるとコツも教えていただきました。 

(出会いの場ポレポレ 石橋 千鶴)