社会福祉法人 拓く

お知らせ (研修)

7月13・14日、ポレポレ倶楽部の企画で、限界集落「愛媛県南宇和郡愛南町」へ視察研修に行きました。地域資源を活かし、地域住民と「共に暮らせるまちづくり」「共に働けるまちづくり」を実践する姿に多くを学びました。

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フェリーの中で地図を確認する参加者    長野先生による講話

  

7月13日・14日の2日間、ポレポレ倶楽部の企画として愛媛県南宇和郡愛南町へ視察研修に行きました。参加者は安武・御井校区の地域の方々、保護者、スタッフの総勢24名です。研修の目的は、地域の人口が減少していく中で何とか町を活性化しようと色々な取り組みをされている「NPO法人ハートinハートなんぐん市場」さん等の見学でした。

現地では、法人の理事でもあり精神科の医師でもある長野先生より説明をお聞きしました。愛南町では人口のピークは昭和25年。その後、減少していく中で、近年では毎年500人ずつ減り続けている、24~30歳の女性が減っていけば都市は消滅していく、等の衝撃的なお話でした。又、精神科の医師である長野先生たちは、患者さんを閉鎖病棟に入れるよりも、順次、この地の一員として地域で暮らすことに移行させていき、働く場も作られていました。

これからの超少子高齢化社会に対処していくには、「支える側」と「支えられる側」というこれまでの構造ではなく、お互いに支え合うことが大事です。私達が最後まで元気で活躍することができるように、今、できることをしっかりやっていかなければと感じました。(理事長 野田 文子)

 

 

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船からみた愛南町             愛南町の紹介

 

愛媛県にある愛南町には、久留米からバスで高速道路を使い、さらにバスやフェリーに乗って7~8時間ほどかけて行きました。愛南町は、南は太平洋を望み西は豊後水道に面し、海と里山の豊かな自然に囲まれた町です。

2日間で、NPO法人ハートinハートなんぐん市場さんや沢山の産業で溢れる町の様子を見学させていただきました。例えば、宿泊させていただいた「山出憩いの里温泉」の横にある山道を上った所にアマゴ(川魚)の養殖場があり、沢山のアマゴ稚魚と立派な成魚が元気よく泳ぐ姿を見学させていただきました。到着してすぐ精神科医である長野先生からお話をしていただき、チャレンジすることの大切さを今までの経験と共に話していただきました。アボカドの栽培の為に海外まで行かれ、何度も何度も挑戦し続ける先生は輝いていました。

2日目は、牡蠣を養殖されている方の養殖場やアボカド栽培、観葉植物のレンタルサービス事業を視察。働いている方々や地域の皆さんで力を合わせ、障害のある、なし、に関係なく、皆さん活き活きと働いておられました。 

「私にできる事って何だろう」。そう思いながら、久留米まで帰って来ました。今、私は地域の行事に参加させていただき、ポレポレの利用者さんや保護者の皆さん、スタッフ、地域の沢山の方と関わらせていただいています。地域行事に参加し始めた最初の頃は、どのような形で参加していいのだろうと考えることもありましたが、少しずつ人との関わりを通して楽しさを感じていくことができています。失敗することを恐れ、チャレンジできていなかった自分がいましたが、長野先生のお話を受けて何事にも挑戦していくことが大切だと感じました。みんなで顔を合わせ気軽に声を掛けあえる街にしたい、孤独を感じながら過ごす人生よりも笑顔で溢れる人生にしたい。人と人が想い合い、お互いの存在を感じ合うことができる関係づくりを、地域の集まりや行事などを通してさらに築いていきたいと思います。     (出会いの場ポレポレ 碇 翔南子)

 

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 アマゴ養殖場の見学                山出憩いの里温泉の前で

 

7月9日・10日の2日間、喀痰吸引等研修(第3号)を実施しました。受講者6名の皆さんは試験に合格。実地演習、実地研修へと新たな一歩を踏み出しました。

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7月9日(土)・10日(日)の2日間、「喀痰吸引等研修(第3号)」の基本研修を出会いの場ポレポレにて実施しました。当法人は、平成27年3月と7月、今年の2月に実施し、今回で4回目となります。

受講者6名の皆さんは、2日間で座学8時間と演習(シミュレーターによる演習)の1時間半、さらに筆記試験に合格して、実地演習、実地研修へと新たな一歩を踏み出しました。

「喀痰吸引等研修(第3号)」は、施設・居宅等において、介護職員等が特定の対象者へのみ、特定の医療行為を行える資格取得のための研修です。介護職員等が医療行為を行うための研修は、これとは別に、対象者を不特定にした、研修第1号、第2号があります。いずれも医療的ケアが必要な方たちの増加に伴い、「社会福祉士及び介護福祉士法」(昭和62年法律第30号)の一部改正により平成24年から始まりました。

研修第3号の特徴は、ALS(筋萎縮性側索硬化症)など重度障害者の方たちが「自分たちの生活を支える、個別の対応ができるマイヘルパーが必要」という切実な訴えのもと、成立した研修であることです。そのため、「重度障害児・者の地域生活等に関する講義」を始め、痰吸引や胃ろうなどの技術的なことはもちろん、障害特性や障害を持つ子どもへの注意点や対応などをしっかり勉強します。

 

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研修初日は9時30分からスタートし、昼食をはさんで、夕方5時まで座学がみっちり。受講生の皆さんは普段聞いたことのない医療器具の名称や馴染みのない人体の名称に戸惑いながらも、熱心に講師の杉本洋子さんの話に耳を傾けていました。

杉本さんは、普段は小規模多機能型居宅介護事業所「みなみの家」にて、看護師として従事され、重度障害の子どもたちのケアに尽力されています。講義はそういった体験談を踏まえてお話されるので、非常にわかりやすいと好評です。

とはいえ、二日目には試験があり、20問中9割正解しないと合格できません。再試があるものの、「大丈夫、これまで3回行った研修では、誰1人再試を受けた方はいませんよ」との事務局の言葉に、受講生の皆さんは少々安心されて、研修初日を終えられました。

 

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二日目の朝は、「やっぱり寝てしまった。試験が心配」と受講者のお一人。9時の開始前には席に座り、付箋を貼ったり、マーカーでびっしりチェックされたテキストを広げたりされている皆さんの姿が見られました。

2時間の座学の後、シミュレーター演習では、講師の手技を見逃すまいと顔を近づけ、「こよりを持つように」と具体的な講師の言葉に従い、恐る恐るカテーテルを人形の気管カニューレの中へ挿入。また、「鼻腔を傷つけないように」との言葉に、カテーテルを上向きに鼻へ挿入。皆さん、それぞれ自分が医療的ケアを行う当事者の方を想定して、人形を使った演習を終えました。

そして、いよいよ筆記試験の開始。張り詰めた空気の中、あっという間に30分が経ちました。「俺、3問、間違えたかも」と試験後にもらした方がいて、こちらもドキドキしましたが、無事、全員合格されました。

「300のヒヤリ・ハット(ハインリッヒの法則)を見過ごしたままにすると、重大な事故につながります。皆さんは危険察知能力を高め、利用者の方に寄り添って医療的ケアを行ってください」と、杉本講師のはなむけの言葉に身が引き締まる思いになります。

長い2日間が終わり、皆さん笑顔で会場を後にされました。志が高い介護士の誕生に事務局はいつも胸が熱くなります。どうか、現場でしっかり技術を身につけて、「マイヘルパー」として活躍してください。   (担当:田町 菜穂子)

 

※ハインリッヒの法則

1つの重大事故の背景には、29の軽微な事故があり、その背景には300の異常が存在するという法則です。

 

7月1日より久留米市障害者基幹相談支援センターが開設され、当法人は西部地区の運営業務を務めます。6月、その準備に向けて、愛知県の基幹相談支援センターやグループホーム等の研修視察に行きました。

今年の7月1日、久留米市障害者基幹相談支援センターが市内4ヵ所に開設されます。

東部地区を社会福祉法人ゆうかり学園様、南部地区を医療法人コミュノテ風と虹様、北部地区を特定非営利活動法人久障支援運営委員会様、そして西部地区を当法人が担当します。

障害のある人たちの暮らしや活動に関する相談をお受けし、相談の内容に応じて久留米市や病院、施設など必要な関係機関の情報を提供し、また連携しながら解決に向けて一緒に考えていきたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。

 

 

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あさみどりの会「児童発達支援センターさわらび園」・名古屋市総合リハビリテーション事業団

 

7月1日の久留米市障害者基幹相談支援センター開設にむけて、6月7日(火)・8日(水)、同センターを担う4つの法人の職員と久留米市議会議員、障害福祉課職員の皆さん13名で愛知県の基幹相談支援センターを始め、グループホーム等の視察をしました。

厚生労働省の元相談支援専門官の鈴木智敦さんに急にお願いをし、大人数の視察や懇親会の連絡調整、そして空港までのお迎えと多大な労力と気遣いをしていただきました。

初日は午前中、「社会福祉法人あさみどりの会」(愛知県名古屋市)の元理事長、島崎春樹先生のお話を伺おうと、「さわらび園」を訪ねました。島崎春樹先生は当法人の全ての建物の基本設計をされた方で、設立時には何度も法人に足を運び保護者の皆さんにお話などをしてくださった、法人にとっては大恩人です。

現在、島崎先生は82歳。「家族とともに、地域生活をめざした」歩みを語っていただきました。年齢の近い保護者で積み立てをし、その資金を元にスピーディにグループホームを立ち上げていること。もう一つは「ボランティアの心」を基本として援けあっていく、人と人とが信頼関係で繋がった「ゆるやかな共同体」を作っていること。これからは「自助」「互助」が必要となる世の中になります。「あさみどりの会」の精神は重要になってくるだろうと改めて思いました。

午後から、鈴木智敦さんが部長を務めておられる「社会福祉法人名古屋市総合リハビリテーション事業団」を視察させていただきました、事業団運営であり病院も併設なので、規模的にはとても大きい法人ですが、医者やリハビリ等の専門家がたくさんいらっしゃって今後の運営は大変だろうと思いました。そして、リハビリテーション医療を視察し、脳血管障害になった方等の職場復帰訓練にはとても有効だと思いましたし、久留米にもこのような事業所があると職場復帰される方も多くなるだろうなあと思いました。   (常務理事 馬場 篤子)

 

 

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あさみどりの会            名古屋リハビリテーションセンター 

 

 

今回の視察先は、全国でも先駆的に事業展開をされている事業所ばかり。久留米にはない目新しい取組み、その取組みが”まち”を変えていく実践の現場を見て、聞いて、感じることができました。

1日目、拓くの設立当初よりご支援いただいている「社会福祉法人 あさみどりの会」は、制度ばかりに頼るのではなく、子どもを始め保護者も助け合って生きていく力をつけていく必要がある。昔の村落共同体のように障害の有無関係なく自助で助け合っていくような、今の時代の「ゆるやかな共同体(大きな家族)」を基本的な考え方として取組まれていました。これからますます厳しくなる社会を乗り切るヒントがあるように思えました。

あさみどりの会のホーム17軒のうち1軒を視察。住宅地のど真ん中にあり、地上高、建築面積の制限から半地下構造になっており、限られた空間に6名が暮らすことを実現した建物でした。住居内は狭さを感じるものの至るところに収納スペースが設けてあり、工夫がちりばめられていました。コンパクトな空間がアットホーム感を生み、入居者には好評ということでした。

 

2日目、愛知県半田市の「社会福祉法人 むそう」のホーム2軒を視察。むそうは、強度行動障害や医療的ケアなど重度の障害児者の地域生活を支援する事業所として全国的に有名です。ホームには、強度行動障害のある入居者が多く暮らしておられ、自閉症の特性や個人の特性に合わせた住環境や支援がとても工夫されていました。

カードなど視覚的な構造化をしたり、クッション床、2重窓、刺激調整のための仕切り・目隠しなどを設けたり、ハード面でも様々な工夫がありました。特に、室内の破壊行動がある入居者の部屋は、壁紙やスイッチなどの刺激物を一切なくし、部屋に仕切りを入れて意味のある空間に細かく分けたことでご本人は落ち着かれているということでした。今後、ハード面の整備が必要となる場合に参考になる点ばかりでした。

この2日間、他法人の職員、市議、行政の皆さんと共に久留米のまちにとっての理想や必要なことを話し合い、共有できたことは、これから久留米市障害者基幹相談支援センターを立ち上げていく上でとても有意義だったと思います。  (本部長 浦川 直人)

 

 

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社会福祉法人 むそう(グループホームの外観) 戸枝さんとの意見交換 

 

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グループホーム(構造化された支援)

 

 

愛知県半田市の基幹相談支援センターの加藤センター長による研修は、これまで何度か拝聴し、相談支援についてとても分かりやすく教えていただいていました。

また、1月には徳山副センター長の講義もお聞きし、半田市基幹相談支援センターが全国でも先駆的な事業をなされていることを周知しておりましたので、この度、半田市の取組みを視察させていただきとても嬉しい思いです。

半田市は基幹相談を社会福祉協議会に委託しています。社会福祉協議会には事務局と地域包括支援センター、障害者基幹相談支援センター、ボランティアセンターが同居し、何かあれば同じ土俵に立って話し合いができるのです。月に1回、一緒に事例検討会を実施し、困難ケースや地域課題を共通の認識にしているということでした。

この同じ土俵に立った話し合いは、社協の建物内だけで行われるのではなく、小学校区でも行われるとお聞きし、地域包括ケアシステムが機能していることを実感しました。権利擁護については、これまでは座学や演習を取り入れた研修を定期的に行っておられましたが、サービス管理責任者や管理者の参加にとどまり、現場の方が研修に出にくいということもあって事業所に出向く研修方式をとり、昨年度は30ヵ所の事業所に赴き、計380人の方が受講されたということでした。やはり来てもらうということではなくアウトリーチの姿勢の大切さを学びました。

 

自立支援協議会の機能については、地域にある課題を一人のものだけにするのではなく、地域の課題として整理し、その解決を図ることが目的とされ、全国的に設置が目指されているところですが、半田市ではその体制が整備され、行政先導ではなく行政とセンターが協議して双方の温度差をなくし、関係機関を含めて主体的な取り組みができています。

自立支援協議会で大切なことは課題抽出と合意形成ということで、個別の支援会議からニーズや課題を抽出し、それを行政・センター・部会長が行う運営会議事務局で合意し、地域ニーズにあった研修会等を開催し人材育成を図っています。

また「就労」「住まい」「社会参加」「地域連携」「一人暮らし」「子ども」といった6つの部会を開催し、その中で主体的な活動がなされ地域の活力にもつながっていました。そして、この部会には行政職員やセンターの職員も複数人ずつ配置され、事業所や機関から自由に参加してもらって学び合っていました。

このような企画は単年ではなく長期的な取り組みをしていく必要があり、継続するからこそ必要とされる社会資源も見えてきますので、役割分担を意識した官民協働の取組みが今後の久留米市でもできたらと思います。  (相談支援センターカリブ 大力陽子)

 

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半田市基幹相談支援センター(朝礼の様子)

 

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名古屋市総合リハビリテーションセンター・名古屋市身体障害者更生相談所

 

 

6月7日(火)9時30分に名古屋国際空港を出発し、10時30分に「社会福祉法人あさみどりの会」のグループホーム「あらくさの家」に到着しました。GHあらくさの家は建ぺい率40%・容積率100%・高さ制限10mの3階建て、全6床で、エレベーターが設置され、半地下の一階がリビングになっており、お互いの顔が見える場所となっています。

続いてハウステンボスをイメージした建物の「さわらび園」へ移動、施設内を見学しました。前理事長の島崎春樹氏よりあさみどりの会の沿革を中心に、生きづらい大人にならないための予防として療育があるとし、会の存在を「大きな家族」と捉え、あくまでも制度は道具であり社会資源の中心に家族を置き、家族間のサポートにより自助・共助が生まれていると説明されました。

社会福祉法人あさみどりの会HP こちらへ → 

 

午後は名古屋市総合リハビリテーションセンターへ移動。名古屋市が全額出資し平成元年に設立されました。リハビリテーション病院の利用者は各地から来られており、それぞれの地域の社会資源とのつながりが弱いとのことでした。

名古屋市では平成26年度より一区に一ヵ所の基幹相談支援センターと地域活動センターを設置。リハセンターには1階に更生相談所があり、特に中途で障害を持った方で、どこにも繋がっていないがセンターの存在を知ったことから計画相談へ繋がっていくケースが多く、就労移行の利用は7割とのことでした。

名古屋市総合リハビリテーション事業団HP こちらへ →

 

6月8日(水)8時30分より「社会福祉法人半田市社会福祉協議会」を視察。全体朝礼の後、各部署でのミーティングが行われました。基幹相談支援センターでは、グループウェアの「デスクネッツ」でスタッフ全員のスケジュールを管理しておられます。

社協の強みとして、各地区担当を決めての縦割りではなく、いわば串刺しでの支援、つまり、障害・高齢・地域福祉・ボランティアの各地域担当者が連携して地域での福祉教育を実践され、障害の理解を進めておられました。

基幹相談支援センターでは、クラウドサービスでのスケジュール管理とは別に、支援記録ソフトを利用し記録を数値化して市に報告しておられます。グレーゾーンで引っかかってきた子どもの記録などライフステージで追えるため、記録は重要だと思います。

また、「半田市児童発達支援センターつくし学園」の地域支援事業として、「発達支援相談あゆみ」には、今年度より職員を出向。どのように社会資源を作るかが課題となっています。

基幹相談支援の役割は地域福祉の基礎整備(土台作り)とし、障害者・障害児のための地域生活支援拠点整備計画について平成26年から研修会を行い、半田市の課題解決に向けて何をしなければならないのかとの思いで、行政と同じ情報を共有して3年を目処に取り組んでおられました。さらに、自立支援協議会も組織的に運営されており、方向性を明確にして課題解決へ向かっているとのことでした。

半田市社会福祉協議会HP こちらへ → 

半田市障がい者相談支援センターHP こちらへ →

 

午後は「社会福祉法人むそう」が経営するアートスクエア内にある「中華茶房うんぷう」にて、戸枝陽基理事長より法人と半田市の障害者福祉の現状、課題についてお話を伺いました。

女性専用の「GHなかよしホーム」、男性専用の「GH hanabitaikai」を見学。積水ホームで改修をされたとのことで、利用者一人ひとりに合った支援を行うためそれぞれの建物に必要な改修を加えておられました。利用者の家賃は3〜4万円で月に必要な金額は7〜8万円。ヘルパーは主に日本福祉大学の学生がアルバイトで働いていました。福祉的な部分でのコンサルは長野の山口くみ氏、経営は鈴木なおや氏にお願いしているとのことでした。              (高田美紀)

社会福祉法人むそう HP こちらへ →

 

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「社会福祉法人むそう」アートスクエア

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5月28日、「障害者差別解消法を知るシンポジウム~学ぶ・働く・楽しく生きる~」に参加し、誰もが暮らしやすいまちづくりについて考え、学ぶ機会になりました。

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5月28日(土)、NPO法人久留米市手をつなぐ育成会などでつくる実行委員会主催で、「障害者差別解消法を知るシンポジウム~学ぶ・働く・楽しく生きる」~が、えーるピア久留米にて開催され、出会いの場ポレポレよりスタッフ7名が参加しました。

当日の、野沢和弘講師(毎日新聞論説委員)による基調講演「障害のある人もない人も暮らしやすい社会に」とそれに続くパネルディスカッション「合理的配慮ってな~に」では、4月から施行された障害者差別解消法の内容や課題について当事者、家族、支援者を交え、具体例を挙げての分かりやすいお話を聴くことができました。

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これまで何度か野沢さんの講演をお聴きする機会がありましたが、今回初めてガイドライン策定後の差別解消法をめぐる状況を確認することができ、だいぶ頭の中が整理された思いです。

そんな講演の中で今回特に聴き入ってしまったのは、「行動障害が激しくなって他の利用者が迷惑している」とグループホームから追い出される場合の例に、合理的配慮の視線を当てたくだりでした。行動障害の方々に接する際の合理的配慮とは?かなり高度な技術が必要になりそうですが、野沢さんが写真で紹介された北海道の事業所「はるにれの里」における配慮(工夫)の例(押し入れにスヌーズレンをつくる等)は、思わず行ってみたい!と思うほどに創造的なものでした。合理的配慮の視点を私たちの足元に置いてみた時に、何か新しいもの、面白いものが生まれる可能性を感じました。                    (出会いの場ポレポレ 内田)

 

※スヌーズレンについて

日本スヌーズレン協会HPより「どんなに障害が重い人たちでも楽しめるように、光、音、におい、振動、温度、触覚の素材などを組み合わせたトータルリラグゼーションの部屋」

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障害者差別解消法のシンポジウムを聴き、関係者でありながら理解できていないことが多く、勉強の継続が必要と思いました。差別を無くすための条例の作り方の段階、苦情や悩みを持ち込むきちんとした場所。またそのような場の職員のあり方。少しずつでも勉強していき、ノウハウを蓄積して誰にとっても住みやすい街にしていかなければと思いました。障害者・高齢者にかかわらず総ての市民につながっていることですから。       (生活支援員 藤井ちえ子)

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現在、下宿屋「南の家ほっと」(南町)にて仕事をしておりますが、まだ勉強不足で時々迷うことがあります。しかし、シンポジウムに参加し、知的障害者の方には作業手順を分かりやすく書いた紙を貼るなどをしてコミュニケーションを取れるように工夫する、どうしたら口頭でうまく伝えられるかといった点を学びました。

現在、利用者さんが福岡県障害者雇用支援センターあゆむに通われており、今回、偶然にもパネリストとして同センターの竹田桂子さんが参加しておられました。そこでは、ご本人の持っている能力を引き出すような職業訓練などが行われおり、最近の利用者さんの様子はとても積極的でやる気が見受けられます。

シンポジウムに参加して、人として障害者・健常者に関係なくその人が持っている能力を引き出して混ざり合って生活していくべきであるということを感じました。

                              (生活支援員 山本 いさ)

 

 

 

 

喀痰吸引等第3号研修の受講者を募集しています!7月9日(土)・10日(日)に開講。超高齢化社会に向けて、ますます需要が高まる医療的ケア。多くの介護職の皆さん、挑戦してください。

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施設・居宅等において、介護職員等が特定の対象者へのみ医療行為を行える資格取得のための研修が「喀痰吸引等研修(第3号)」です。当法人はその研修機関として福岡県に登録し、現在までに3回実施しました。

これまで、初めて目にする医療用語や器具に戸惑いながらも、およそ50名近くの介護職員等が試験に合格し巣立っています。2日間の研修中も質問が飛び交い、講師の言葉に熱心に耳を傾けながら、真剣な表情で実技に臨まれていました。

超高齢化社会に向けて、ますます需要が高まるであろう医療的ケア。たとえ病気や高齢によって気管切開をしたり、胃ろうや腸ろう等をつけたりしても、自宅で安心して暮らせるように、できる限り多くの介護職の皆さんに挑戦していただけたらと思います。

 

日   時 :7月 9日(土)9:00~17:00 

       7月10日(日)9:00~16:00 の2日間

会  場 : 社会福祉法人 拓く 出会いの場ポレポレ 

受講対象者 : 特定の重度障害者等に喀痰吸引等を実施しようとする介護職員等

定  員 : 15名

受講料 : 基礎研修(講義と演習)14,000円

実地研修(特定の対象者1名につき)3,000円

申込締切 : 平成28年6月15日

※基本研修のみの受講は不可。再試験は手数料1,000円

 

受講を希望される方は、下記の募集要項及び注意事項をご確認の上、お申込みください。

 

0001喀痰吸引等第3号研修 募集要項・注意事項 → 詳細はこちら

 

【お申し込み・お問い合わせ】

社会福祉法人 拓く FAX:0942-27-2086 ╱ TEL:0942-27-2039

お問い合わせはFAXでお願いします。

 

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1月、「ふわりんクルージョン2016(東京・秋葉原)」に参加しました。「すべての人が輝く地域包括ケア ~地域密着で輝く命~」をテーマに研修しました。

0001 ふわりんクルージョン2016→詳細はこちらへ

 

1月30日(土)・31日(日)、当法人は、秋葉原コンベンションホール(東京都)にて開催された「ふわりんクルージョン2016 すべての人が輝く地域包括ケア ~地域密着で輝く命~」に参加しました。2日間にわたる各分科会には多彩な講師が登場し、地域包括ケアについて大いに学ぶ機会となりました。ここで、参加者のレポートをご紹介します。

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この「ふわりんクルージョン」を企画運営している戸枝陽基さんとの出会いは、2002年6月。「地域支援」を開始する時に、知多半島にある戸枝さんの運営する「ふわり」へ伺いました。

彼は私より一回りほど年が若いのですが、頭が良く、とてもバイタリティがあり、地域にこだわった生産活動の「飲食業」「農業」「強度行動障害」「医療的依存度の高い方」「暮らしの支援」と、いずれも先駆的に切り拓いてこられました。また、日本福祉大学の学生バイトをはじめ、若き職員たち。新しい感覚で、躍動が感じられます。さらに、時代に必要な研修会を「オールジャパン」で開催されています。

年代は違うのですが、戸枝さんの考え方に共感することが多いです。そのひとつに、専門家は直接支援というより、「地域住民」と「障害当事者」をつなぐということが、支援では重要ということです。支援者がますます少なくなる社会の中で、ポイントになる考えだと捉えています。

 

今回の「ふわりんクルージョン」は、確か3回目。初回は、当法人も医療依存の高い方の支援を始めようとした頃で、懇親会で語り合おうと、当法人のスタッフが3次会まで参加しました。

医療的ケアを実際にされている東京事業所の3階は、エレベーターもなく狭い階段を上らなければいけませんでしたが、ここで、野田聖子衆議院議員の子どもさんを始め、医療依存度の高い方の支援をされているのだとお聞きして驚き、感動しました。

現在は医療が発達しているため、スペシャルニーズ(超重症児)の子どもたちが増え、地域で暮らしていくために、看護師や介護士の育成や支える法律、制度、インフラ整備が急がれます。そこで、彼は東京に事業所を出し、愛知県の知多から週2回東京に通って事業所を運営し、しかも様々な研修会を企画しながら、運動を展開されているのです。

今回は、久留米市役所から健康福祉部総務、総合政策部の2名の職員、そして藤林市議、秋永市議が、「医療依存度の高い子どもの在宅ケア」「小規模多機能自治と地域包括ケア」「発達障害のある生活困窮者支援」について学ぶために参加されました。

会場では、困窮者自立支援法を中心的に創られた熊木正人さん(厚労省企画官)と直接お話をする機会をいただきました。分科会には企業や社協、NPO法人など、各地で時代を切り拓いている方々が登壇されており、大変勉強になりました。   (常務理事 馬場 篤子)

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私が参加した第4分科会は「地域密着のまちづくり」というテーマでした。地域密着で働く理想の形が濱野まり子さん(ディスカバーリンクせとうち 尾道デニムプロジェクト)の働き方にあります。講演で流された映像(NHK「U-29:人生のデザイン」)出演の濱野まり子さんが素敵だったので、会場は福祉職で働き始めたばかりの若い人たちで溢れました。

日本は超少子高齢化社会になり、人口減少、労働人口減少となる中で、公助から自助へ大きく方向転換を余儀なくされています。一方では家族や地域の繋がりが貧弱になることで、社会的困窮者を生み出し、人間関係を構築できない事が生活困窮・経済的困窮に陥る大きな原因ともいえます。制度の枠では解決できない、誰もが支え支えられる地域の構築、社会の実現を目指そうと、大きな課題を突き付けられているのです。

そんなお話の中、町づくりの魅力とヒントが、生き生きと働く濱野まり子さんから伝わってきました。彼女は、尾道で働く方々がワークパンツとしてデニムをはき続けるユーズドデニムを育て、尾道の魅力を世界に発信しようと作られたプロジェクトのチームリーダー。23歳、プロジェクトの魅力に引き寄せられ神奈川から移住。デニムをはく人達一人一人の職業を知り、人を知り、町に溶け込み繋がっていき1本のデニムを育てる。その一本一本のデニムのストーリーを大切に思う彼女の姿と働き方に私は共感し、勇気と町づくりのヒントを貰いました。

地域づくりはまず地域を知ること。どんな問題を抱え何に困っているのかを知らないと必要な事が見えてこない。一人の困りごととは言っても、ひょっとして他にも同じ困りごとを抱えている人がいるかもしれない。地域の課題は地域によって違うので、それを地域みんなの共有の課題にしていく。諦めずに続けていくこと。繋がり合うことが大切で、これは時間のかかる仕事ですが、次はより広い範囲で課題を持ち寄り話し合うことへ。

この分科会に参加して、濱野さんの仕事ぶりに心揺れた福祉に携わる若い人たちが、自分でやりたいと思う事、心揺れる仕事を諦めずにやり続ける事が大切だと思いました。福祉の仕事は、やれない人にはやれない。特別な人たちにしかできない誇りがある仕事。自信を持ってキラキラと働いてほしいなあと思いました。  (御井あんだんて 森田 さかえ)

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2日目の「生活困窮者自立支援法自立相談支援事業従事者養成研修の中心メンバーがむそうの発達障害者研修を受けてみました!~生活困窮者って支援の不足した発達障害者の成れの果て?」という内容の分科会に参加しました。

発達障害とは社会性やコミュニケーションの障害で、支援する側もうまく関われず、介入が難しいのではないかと思っていた時に、支援者が、7daysという発達障害者の立場になった研修を受講し、脳の機能障害を知るチャートに支援者自身をあてはめて検証してみたところ、実は私たちも発達障害者だったのでは?と思えるほどの結果が色濃く表れ驚いてしまった。しかし、個性は強ければ強い方がよいのではないかと思い、色々と悩んできたことが納得という形で気持ちが楽になりいい支援が出来るようになったそうです。

発達障害者との関わりについては、不適切な介入や介入をしない状態だと今まで積み上げてきた体験に頼り、自己流(本能的)の解釈をしてしまいます、そうなると、さらに孤立した状態となり、社会的自立から遠のいてしまい、「孤立」となります。適切に介入できれば、安心や満足感が得られ支援を活用していくことで社会的に自立していき、「共存」へ移行できて生活困窮者ではなくなっていくのです。

つまり、社会性やコミュニケーションが不足してしまうと就業が難しく、生活困窮者へ移行してしまいます。支援者が適切に介入し社会へとつないでいくことが急務。たくさんの方々の関わりや支えがあることにより孤立を防ぐことで、生活困窮者が減っていくとのお話でした。

 

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最後に、就業の方法として、Aさんを参考としたお話がありました。

Aさん:入力がとても得意ですが、電話の音が苦手。事務所で作業をしていましたが能力が発揮できていない為、就業アドバイザーが会社へお願いし、事務室ではなく静かな書庫で作業ができるよう環境を整えたところ、他の方の3倍速く正確に入力処理でき、会社に貢献することができるようになりました。

このように会社にAさんの情報を正確に伝え環境を整えることにより、Aさんの実力がフルに発揮され長期的に就業が可能になり生活が豊かになります。就業先の方を巻き込む事により安定した支援を築くことが出来ます。

就業先を決めるにあたっては、必ず担当者が就業する方の仕事先で、1日かけて就業時間を共に過ごし職場の方々とより密接なコミュニケーションをとることが大切なポイントとなり、色々なお願いもしやすくなるとコツも教えていただきました。 

(出会いの場ポレポレ 石橋 千鶴)

2月5日(金)~7日(日)、アメニティーフォーラム第20回記念大会(滋賀県)に参加しました。多くの学びと刺激。意識変革をして、新たな取り組みにつなげます!

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2月5日(金)~7日(日)、「アメニティーフォーラム20」が滋賀県大津プリンスホテルにて開催され、当法人より4名が参加しました。この催しは、障がいがハンディにならない社会の実現を目指して開催されており、毎回、全国から1500人を超える方々が参加されています。第20回記念大会の今回は、きたやまおさむさんと小室等さんによるジョイントコンサートも開催されました。

ここで、研修に参加した職員のレポートを紹介します。

 

 

2002年の7月のことです。2001年9月に「出会いの場ポレポレ」を開所した翌年、私たちは、アメニティーフォーラムの企画推進をされている北岡賢剛さん(現・社会福祉法人グロー理事長)にお会いするために滋賀の「オープンスペースれがーと」を訪ねました。現在は、「滋賀県社会福祉事業団」と「オープンスペース れがーと」が一つになって、社会福祉法人グロー(GLOW)になっています。

名古屋の島崎春樹さん(社会福祉法人あさみどりの会 元理事長)から北岡さんに頼んでいただいたためか、牛谷正人さん(現・社会福祉法人グロー副理事長)や中島秀夫さん(現・社会福祉法人グロー理事)など豪華な講師陣から、次々に講義をしていただきました。

「ご飯を食べに行く時間がもったいないでしょう。うちのパンでも食べて話をきいてください」

これにも、びっくり。北岡さんを始め、れがーと関係の方々は変革に燃えておられ、勢いがありました。今では当たり前になっている「地域支援」についてでしたが、当時の私たちは、「相談支援」や「レスパイトケア」等、初めて聴くことばかり。あまりにも予備知識がなかったので、皆さんのせっかくのお話もなかなか吸収できなかったのを思い出します。

 

私は、2003年2月からアメニティーフォーラムに参加しています。実は、これに刺激されて、2005年1月、「フォーラムinくるめ」を開催しました。

当時、佐賀知事に就任されたばかりの古川康さんにもお力をいただき、500名定員で企画準備。初めての試みで、達成には遠い数字とも思えたのですが、それから奮起し蓋を開けたら、2日間のフォーラムに1,000名以上の参加。快挙でした。当日は、福岡寿さん(現・長野県北信圏域障害者総合支援センター)や辻哲夫さん(元・厚生労働省事務次官)たちにも登壇していただき、久留米での取り組みが発信されるようになりました。あれから13年。アメニティーフォーラムの会場に行くと、懐かしい面々の皆さんは(私も含めて)年を重ねられ、会場も登壇者も私の知らない若い方々が多くなってきています。

 

今回のフォーラムに参加して心に残った点は、3日目の「アサダワタルが考える、これからの居場所の“創作”~個と個の交わる関係性を語り合う~」セッションでした。

特に、「内にこめる生きづらさを少し外に出すための表現活動の意味」で、上岡陽江さん(ダルク女性ハウス施設長)と西川勝さん(臨床哲学者・大阪大学CSCD特任教授)のセッション。

もうひとつは「これからの居場所の“創作”制度でこそできることと自律的で創造的な場づくりのハザマで」に登場した湯浅誠さん(法政大学現代福祉学部教授)と上田假奈代さん(NPO法人ココルーム代表理事)のセッション。これもとても興味深かったです。

上岡さんや上田さんを訪ねてみてお話をお聞きし、こちらの意識をかえて、新たな取り組みができたらと考えています。 (常務理事 馬場 篤子)

 

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アメニティーフォーラム第20回記念大会 → 詳細はこちらへ

 

 

毎年、滋賀で開催される日本一の規模を誇るフォーラム。朝から夜中まで、厚生労働省などの行政、政治家、全国の先駆的な取組みを行っている人たちの講演会でびっしりスケジュールが詰まり、頭に入りきれない情報と刺激があります。私は今回で2回目の参加。本当に「時代が変わる」ことを実感させられるフォーラムでした。

行政や政治家、有識者の皆さんからは、「どの国も経験したことのない少子高齢化社会に突入する中で社会保障に対する財政抑制が厳しさを増しており、介護保険をはじめ障害福祉分野でもこれまでのように右肩上がりの予算の伸びは見込めなくなる」とのお話でした。その課題解決として、「地域包括ケア」「地域づくり」「一億総活躍」などの言葉が頻回に使われ、「誰もが能力に応じて労働やお金を出し合い、高齢者や障害者、子どもなどを分けることなく地域全体で支えていくことになる」とのことでした。「あぁ~やっぱりお金も人も足りなくなる時代、『共助・互助』を強めていく時代に変わるんだ」と実感しました。

また、社会全体が苦しくなる中で、100%税金で成り立っている社会福祉事業においては、「国民から良いことをやっていると納得してもらえる事業展開(専門性・地域貢献)」「透明性・信頼性の高い経営」「多様な人をマネージメントする力」が必要。これからは、「三方よし(会社よし・利用者よし・地域よし)」から「地球(環境)よし・次世代よし」を加えた「五方よし」の経営視点が必要との指摘がありました。

 

大臣官房の蒲原氏のプレゼンの中で、全国でも実践が広がっており、安武町でも行われている「子ども食堂」が例に挙げられ、障害福祉だけをやるのではなく、地域課題も包括的に解決していく取組み(地域づくり)を広げていくことが、これからの社会福祉法人の重要な役割になってくるとありました。

さらに、講義「これからの日本をデザインする」の中では、中央大学の宮本教授から、支える側と支えられる側では維持できない時代において、新しい考え方「支え合いを支える保障(共生保障)」とそれを作り出すための仕組み(支援付き就労、補完型所得、地域的居住)をどう創るかがポイントとなるということ。自治体の役割としては、分野を縦割りではなく横割りで好循環を生むために、どうそれぞれの機能を使えるようにするのかがポイントになる、と提言がありました。

 

最終日は、地域づくりをメインテーマとした連続講義「アサダワタルが考える、これからの居場所の”創作”」を受講。表現活動(話す、踊る、描くなど)としてのアートを媒体に、これまでの枠にはまらずに、知らない「あなた」と「私」との関係をつないでいく居場所の紹介と役割の意味。確かに人と人とがつながることで豊かな生き方が生まれてくる一方では、お金は期待できないジレンマがある。時間はかかるかもしれないが、そういう場づくりにお金をかけ、評価される時代がやってくるはずであると湯浅氏は話されました。

社会情勢や総合支援法3年後の見直しをはじめ、これから変わりゆく時代において、当法人がどう向かっていくべきか、とても示唆に富んだフォーラムでした。 (グループホーム責任者 浦川直人)

 

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今回、沢山の講義を一度に聞き、頭から足先までお腹いっぱいになった感があります。深夜まで及ぶ講演とそれを熱心に受講する人、とにかく素晴らしかったと思います。

その中で関心のあった徳島大学大学院の境泉洋先生による講演「ひきこもりの実態と構造~高齢化するひきこもり」についてレポートします。

 

ひきこもりとは?

ひきこもりの定義は、様々な原因の結果として社会参加を回避し、原則的には6ヵ月以上にわたって概ね家庭にとどまり続けている状態を指す現象概念です。ひきこもりには、精神疾患の症状からくる二次性と、精神疾患が直接原因の零次性、精神疾患の症状がない一次性とに分類されます。ひきこもりの子どもを持つ家族は、わが子に精神疾患があるはずがなく一次性だと考えますが、実際に支援してみると、統合失調症や発達障害がベースにある二次性というケースが多いといいます。性別では、学生の間は男女差がなく、18歳以上では男性が8割、女性2割。男性に多い理由としては、就労へのプレッシャーや働く以外の役割が男性に少ないこと、発達障害は男性が多いことがあげられます。

 

ひきこもりの初期・中期・慢性期~回復期へ

人の心理状態として、楽しいことを追い求める人は家にずっとは居ませんし、嫌なことがないことを求めると家に居たくなるものです。ひきこもりの心理として、人は何かをする時にはメリットのある方向へ動こうとしますので、初期は不安な状況を避け、これを維持するために家にこもります。ですが、ひきこもるよりもメリットがあればそちらに行くことができます。

中期には、出て行こうとしますが、失敗体験を学習して無力となってしまい、慢性期には、楽しいから家にいるのではなく、嫌なことが起こらないメリットがあるから家にいるということ。本人はこのままではいけないという気持ちはありますが、何かしなければという焦りと何もできないという恐怖との間で葛藤を生じるのです。

 

ひきこもりからの回復初期は、楽しい気分になれる行動をワンステップずつ提示し、この時に現状維持以上の生活できるようにして成功体験を作り、メリットとすること。この行動レパートリーをどれだけ沢山提示できるかということです。現状以下の生活になるとデメリットを作ってしまうのでやり方を間違えないこと。回復後期には、嫌なこともあるけれど何かに挑戦したい気持ちにさせること。頑張っていればいいことがあるという気持ちにさせること。家族は最初からこの方法をとろうとするので失敗し、失敗体験となり更なるデメリット、ひきこもりを誘発してしまうのです。

大切なことは知り合いを増やし、相談を受けるとともに地域での受け皿を作っていくこと。まずは気持ちよく過ごし、ちょっとやろうかなという気持ちを持つことが大切ということでした。相談支援をするなかで、ひきこもりのケースがあるので参考にしたいと思います。

(相談支援専門員 大力 陽子)

 

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滋賀で行われたアメニティーフォーラムには、全国の事業所よりたくさんの方々が研修を受けに来られていました。フォーラムではさまざまなテーマのもとで研修が行われて、地域に視点を置いたお話や3年後の法律改正についてのお話が多かったように思います。

その中で一番印象強かったのは、東田直樹さん(作家)と東田美紀さん(お母さん)の「自閉症の僕が跳びはねる理由」「わが子の可能性を信じる子育て」という講演でした。以前NHKで放送された「君が僕の息子について教えてくれたこと」という番組で東田さんのお話が放映され、「出会いの場ポレポレ」にて拝見しました。その時に東田さんの事を存じ上げ、フォーラムで実際に御本人よりお話を聞かせていただきました。小さい頃から様々な取り組みをされており、特に印象に残っている事がフラッシュカードで、一種類のカードだけでなく、さまざまな種類のカードを組み合わせて(図や、英語表記、計算式が表記されているなど)飽きがこないよう、言葉の習得に繋げていったとのことでした。最後に質問を受けられていた際、沢山の人々の中での長時間の講演ということもあったためかステージ上を飛びはねたりお母さまへ問いかけを何度もされたりしていましたが、会話のできない重度の自閉症ということで、紙で作ったパソコンの文字盤をポインティングすることにより援助なしでコミュニケーションをし、長い質問に対しても時間をかけてしっかりと質問に答えておられました。

どんな障害があっても地域で共にみんなで暮らしていくために、私ができる事は何だろうか。そのためにどのような取り組みを考えていけるのだろうか、と改めて考える機会になり、刺激をいただいた研修となりました。(出会いの場ポレポレ 碇 翔南子)

 

2015年11月・12月、柳川療育センターにて現場研修を行いました。今後も、障がい児者の高齢化・重度化に対応した支援の充実・強化を図るために研修を重ねてまいります。

11月9日・10日と16日・17日、11月30日・12月1日、社会福祉法人高邦福祉会の柳川療育センターにて、「医療的ケア」の知識や技術を学ぶことを目的に、当法人は班に分かれて職員が実習に参加しました。

柳川療育センターは、福岡県柳川市にある重症心身障害児(者)施設。障害を持つ方々が社会の中で快適に生活できるように、入所と外来のサービスに努め、リハビリテーション、療育等も行っておられます。

今回、参加者の研修報告を紹介します。

 

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今回、医療的ケアが必要な方々が暮らす様子を2日間見せていただき、実習をさせていただきました。日頃、福祉サイドから生活を支えている私たちですが、柳川療育センターの現場を拝見したことで、清潔、不潔の感覚が全く異なることが分かり、感染対策は今後、多くの改善の余地がありそうです。しかし、感染対策を万全に行えば行うほど、消耗品に莫大なコストが必要になることも課題のように感じます。

食事については、誤嚥を回避するためにきざみ食のリスクは高いので、とろみ食を提供されています。当法人でも、すでに嚥下の研修を行いましたが、飲み込みの状態等の把握が今後は必要ではないかと思います。そうした時に、きざみ食なのか、とろみ食なのか、保護者の皆様にも一緒に勉強していただき、これからのことを考える時期がきていると思いました。

障がい者の重度化、高齢化に向けて、健康であり続けるため、私たちが何をすべきか、今から勉強していきたいと思います。  (管理者 北岡 さとみ)  

                

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当法人では、通所者・入所者が安心して地域生活を送るための体制づくりとして、障がい児者の高齢化・重度化に対応した支援の充実・強化を図ることに取り組んでいます。その取り組みのひとつとして、医療的ケアに対応できる支援体制の整備を進めているところです。

久留米市でも、平成23年度から、痰の吸引や経管栄養などの日常的な「医療的ケア」が必要な児童を事業所で夜間預かる「医療的ケア短期入所」を支援する事業を始めています。今回、当法人がこの事業を受託することになり、柳川療育センターにて「医療的ケア」の知識や技術を学ぶことを目的に研修させていただけることになりました。

1日目は、午前中オリエンテーション、午後からは、自分自身が利用者になり機械浴を体験させてもらったり、食事介助をさせていただいたりしました。2日目は、担当の指導者に付いて「医療的ケア」の必要な方のケアをさせていただきました。

2日間という短い研修期間でしたが、私にとってはとても充実した2日間でした。

五感の重要性や姿勢の大切さ、その人の立場になって考えるのではなく、その人自身になって考えないと気付かないことがあるというと、また経験や体験を通してその人の生活の質が向上することなど、改めて考えさせられる機会となりました。

また、安心・安全・快適に日々の生活するための環境設定や、衛生面、感染予防について、学ぶべき点もたくさんありました。

今回、柳川療育センターで学ばせていただいたことを、今後の当法人の医療的ケアに対応できる支援体制の整備にいかしていきたいと思います。 (出会いの場ポレポレ 鹿子島功子)

 

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柳川療育センターは、外来リハビリテーション、療育相談(成長や発達の相談、栄養や食事の相談、社会生活に関する相談、医療・福祉手続の相談など)のほか、重症児(者)通園定員5名、短期入所事業・日中一時支援 定員5名、入所者定員55名の事業を行っています。

初日は、オリエンテーション、入浴体験、摂食体験を、2日目は、PTの理学療法の見学、通所の様子の見学などをさせていただきました。

重症心身障害の方、また初めて会う方ということで、どうコミュニケーションをとればいいのか、どういうサインを出しておられるのかと考えながら接している時、最初に、私が出会いの場ポレポレに足を運んだ時に同じ気持ちになったことを思い出しました。

重症心身障害の方の対応ということで、衛生面、感染症への対策などしっかりとされていて、当法人でも今後、重度化、高齢化が進んでいく中で、対策を進めていかなければと感じました。

通所の場では、視覚刺激を感じることが発達への第一歩という考え方から、天井、壁にカラフルな飾りが施されていたり、活動の中でも快の刺激をということで、エアートランポリンを部屋で膨らませて、みんなで乗り、ゆらゆらとゆったりしたり、バインバインと跳ねたりと、とても楽しそうな表情やリラックスした雰囲気になっていました。

他にも、ハンモックでリラックスしたり、新聞紙相撲をしたり、年末には書き初め、干支飾りを作ったりなど、色んな事をされているそうです。

今後、取り入れることが出来るものはどしどし取り入れていこうと思いました。 

(出会いの場ポレポレ 前田 力哉)

 

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11月16日・17日の2日間、柳川療育センターで5班に分かれて研修を受けました。柳川療育センターの利用者は医療ケア、移動や着替え、トイレなど多くの部分で介助を必要とされる方々です。

言葉は喋れない利用者が多い中、どのようにして現場のスタッフの方々はコミュニケーションを取っておられるのか疑問を持っていました。

研修では、柳川療育センターのスタッフの方の同行のもと、食事介助やトイレ介助を経験させていただき、コミュニケーションの取り方も見ることができました。そこでは、利用者のわずかな目線や顔の表情を読み取って「YES、NO」を聞いたり、「ひらがなが書いてあるボード」をつかって意志を伝えたりするやり方などを拝見しました。

他にも、看護師・OT・PTなどの専門的な分野のスタッフがたくさんおられて、気づいた点を現場のスタッフに伝達し、みんなが情報を共通理解されていました。

今回、出会いの場ポレポレでは見ることができない経験をさせていただきました。今後はこの経験を活かしていきたいと思います。 (出会いの場ポレポレ 小川真太朗)

 

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今回の研修では、重症心身障害の方とのコミュニケーションの取り方等勉強になる事がたくさんありました。特に目の動き、眉の動き等でイエス・ノーを判断する等、日々の利用者さんの小さな変化も見逃さない職員の方々の姿勢は見習う点が多かったと思います。

また、重症心身障害の方が多い中、感染症予防がしっかり徹底されており手洗いひとつとっても日頃の自分の行動を見直す機会になりました。

さらに、利用者のベッドには、いつ・どの支援者が入っても同じ介助が出来るように「見える化」が徹底されており、私も日々の活動に取り入れていこうと思いました。 

(出会いの場ポレポレ 児玉 元気)

 

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今回、柳川療育センターの研修を受けて率直に感じた事は、10名程度のグループにスタッフが数名で対応する出会いの場ポレポレとは違い大人数の利用者様をスタッフ総出で入浴をしたり活動をされていて、ポレポレの日中活動やグループホームがいかに手厚い援助であるか、ということでした。

医療的ケアが必要な方々が約50名利用されている療育センターでは、午前8時過ぎに伺った時点でおむつ交換の真っ最中でした。1部屋5~6名の方をスタッフ総出で一斉におむつ交換されていたので、プライバシーも何もないと思ってしまいました。しかし、後のオリエンテーションでプライバシーより安全・命が大事だと言う事が分かりました。目・手を離さないということでプライバシーより安全を優先。また、五感の大切さも教えていただきました。私は1日目だけの実習を受けましたので、リハビリや療育的な事をもう少し知りたかったと思いました。

 (居宅介護センターカリブ 稲田 智美)

 

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2日間の研修では、重度の方がほとんどということもあり、感染症を防ぐための対策がしっかり構築されていることに驚きました。イソジンで陰部を消毒したり、消毒液を持ち歩いたりされていましたので、常に衛生管理ができています。室内はもちろんのこと、週2回しか入浴されない利用者の方々から排泄臭が全くしません。

衣類の洗濯では、必ず洗剤と一緒に次亜塩素酸を小量入れ、乾燥機にて熱により殺菌がきちんとされています。次亜塩素酸入りの洗濯や消毒液の持ち歩き等はすぐにでも取り入れたらよいのではないかと思いました。

こちらの施設では姿勢をとても大切にされており、姿勢が崩れることにより内臓にまで悪影響を及ぼすため、時間をかけ姿勢を正しく保つようリハビリに力を入れられていることがとても印象に残りました。例として、PTの指導を見学。そこでは、筋緊張により長時間同じ姿勢をされている影響で喀痰がたまり呼吸が苦しい方を少しずつご自分の力で緊張をほぐすようリラックスさせ、胸を開き自発的に呼吸が楽になるように手助けをされていましたし、姿勢がこれ以上悪くならないようリハビリを継続されていました。とてもうらやましい環境だと思います。今後、車いすの方の姿勢に着目し、私たちが出来ることは何かを考え、取組んでいきたいと思いました。 

(出会いの場ポレポレ 石橋 千鶴)

 

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柳川療育センター内は1~3階まであり、それぞれの場所で活動をされていました。私が2日間の研修でとても印象強く残っているのが、理学(PT)、作業(OT)、言語聴覚(ST)の部分と感染予防に対しての対策についてでした。

座位保持装置に座られる時の姿勢や、横になられた時の姿勢保持、一つ一つの動作等、ゆっくりと丁寧にそれをリハビリスタッフだけでなく他職種のスタッフ一人一人が感染予防に徹底して取り組まれており、私達の日常を見直すことが多くありました。

また、職種に関係なく連携されている姿があり、考えさせられる事が多くある研修となりました。                               

(出会いの場ポレポレ 碇 翔南子)

 

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柳川療育センターでは、職員の皆さんが看護・介護・保育等の資格を持たれるスペシャリストが揃っておられ、医療・療育に努めておられます。

外来診療では、療育において早期発見・早期治療が望ましく、小さなお子様をPTの方が温かく愛おしそうに訓練されていました。

今回の研修において、医療的ケアの現状を見学させていただき、医療の大切さを感じました。

入所の方々とのコミュニケーションを通し、快・不快のサインを見つけ現状を知る事。安全・安楽に援助する為の留意点、タッチングを利用し表情や行動から知る、目線・立ち位置を合わせ、常に疑問を持つ事等、改めて考え直す事ができました。

相手を変えるのではなく「自分が変わる」。松尾看護部長の言葉から教えられた2日間でした。 (グループホーム世話人 今岡 勝美)

 

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柳川療育センターは重度の方の入所ということで、自分達が寝る場所と活動する場所は同じ階にあり、当法人のグループホームの生活とは違う形だなと感じました。

朝礼では、夜勤者からの報告に加え、教本をその日の担当が読み、医師が追加して病気の話をされ、日々違った病気の知識も勉強されていました。また、一人ひとりのことをみんなで考える取り組みがされており、利用者の担当が、皆の前でその方の最近の様子を話す。そして、それに対して、こうしてはどうかという話をされていました。チーム医療と聞いたことはありましたが、介護の現場でも実践されているのが印象的でした。

また、センターでは、介護福祉士を持ちながら保育士の資格を持っている方が何人かいらっしゃいました。保育士資格を持っている人は、保育士の研修にも行き、そこで学んだことをまた普段の活動に活かされているのです。保育の部分で学んだことを介護の現場で活かす取り組みが自分はとても面白いと感じました。

研修では、どの職員の方もこれまでたくさん実習生を受け入れている経験から、こちらの質問に対してたくさん答えていただきました。私自身が直面した、365日対応が必要になった時の話をすると、後見人さんとはどんなやりとりをしているのか、ご家族とはどのようなやりとりをしているのかなど、色々聞かせていただきました。

そして、療育センターでは、病院で亡くなられた利用者の方は柳川療育センターに戻ってきてもらい、入浴、整容を行い、最期のお別れをされているとのことです。

普段、出会いの場ポレポレで働くだけでは知ることのなかったことをたくさん勉強させていただき良い研修の機会となりました。(GHチェムチェム 白數 直基)

 

9月、「誰もが暮らせる地域づくりフォーラム2015」に参加しました。地域で当たり前に暮らしている当事者3名が登壇。今回も、私たちの意識を変える良い機会となりました。

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フォーラム登壇者の岸本彩さんと一緒に

 

9月13日(日)、「誰もが暮らせる地域づくりフォーラム2015 いのちと存在の価値~誰もの社会的なはたらきを明確に~」が、兵庫県伊丹市にて開催されました。

主催は、NPO法人地域生活を考えよーかい、共催は有限会社しぇあーどの皆さんです。

今回、当法人より7名が参加。ここで、6名の研修報告を紹介します。

 

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3年前(2012年)、「医療的ケアはとても難しい」と思っていた私たちにとって、ハードルを下げてくれた有限会社しぇあーどとの出会いがありました。そこでは、若いヘルパーさんが気管切開して人工呼吸器を付けた方の移動支援をしていたのです。それも何人も。まさに「目からうろこ」でした。

そして、2年前(2013年)、このフォーラムに参加した時に、沸き上がるような感動をいただきました。全てが感動、それを久留米に持ち帰りそのまま発信したいと思い、半年後、気管切開をし、スピーチカニューレをした青野浩美さんのコンサートと清水明彦さんの講演会を久留米で開催しました。(詳細はこちらへ→「コンサート&講演会」)

同時に、法人として医療的ケアに向かいました。現在、喀痰吸引の研修会開催や実際に医療的ケアの方、4人を対象に実施しています。

当法人の事業を推進してくれたフォーラムに、今回は7名で参加しました。

フォーラムは、気管切開され人工呼吸器を付け、地域で当たり前に暮らしている当事者3名のセッションで始まり、インパクトが強かったです。超重症者である当事者3名のセッションの場がこの時代に拓けたということに大いに共感し、歴史的にここまできたのだと感銘をうけました。その先頭を走っているしぇあーどの李国本修慈さんに出会い、支えられながら「どんな状態になっても地域で」とこだわりつづけ、当法人も遅ればせながら、医療的ケアの必要な方の地域生活を可能にしようと走りだしています。

また、横浜の「朋」の創設者である日浦美智江さんの講演もありました。日浦さんのおトシは77歳。日浦さんには1993年から1995年にかけて、共に生きる場「JAMBO」を作る時に、みんなで研修に行ったり、久留米での講演会に講師として来ていただいたりしました。日浦さんは重度心身障がい者の通う施設「朋」を「文化施設としての社会福祉施設」と表現しました。このことは「誰もが暮らしやすい社会づくり」につながると提言されています。まさに、当法人が目指す姿でもあります。

このフォーラムに参加し、超重症者の方の地域生活を支える取り組みはとても「厳しい」ことかもしれないけど、とても「素敵なこと」だということを改めて思い、ファイトがでました。

(常務理事 馬場 篤子)

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前回のフォーラムは、気管切開しても声楽家として活躍されている青野浩美さんや重度障がいのある方のヘルパーを利用した一人暮らしなど、衝撃的で意識を変えさせられる講演会でした。

今回は午前中、障がい当事者3名が登壇され、「これまでのこと、これからのこと」についての講演がありました。3名ともストレッチャーに吸引器や呼吸器、パルスオキシメーター、バッテリ-を積み込み、言葉はなくてもちょっとした舌の動きや指の動きを頼りにコミュニケーションをする20代の若者たちでした。

彼らは、地域の保育園や小学校を卒業し、24時間のヘルパーを利用しながら、保育園で働いたり、海外旅行をしたり、好きなおしゃれをしたりしながら親元を離れて暮らしておられます。講演では、「医療的ケアは特別なことではなく、日常のこと」「専門性ではなく関係性」「人生に関わる私たちに興味を持ってほしい」と。例え、障がいがどんなに重くても、医療的ケアが必要であっても「私らしく生きる」ということが根底にあり、同じように重い障がいがある人のためにも自分たちが道を切り拓くという先駆者たちでした。

ご本人が自ら人生を選び、自分の存在そのものでその権利を勝ち取っていく。そういう支援を当法人としても推進していきたいと改めて思いました。

午後は、青野さんの歌や同じく気管切開をしている高校生との楽器演奏のセッションがありました。また、社会福祉法人 訪問の家(神奈川県)の日浦さんによる長年にわたる重度障がい者の地域生活を支える実践を踏まえたプレゼンテーションは、一つひとつのメッセージが重く響いてくる内容でした。今回も衝撃的で意識を変えさせられる、とても前向きになれる講演会でした!

                      (グループホーム責任者 浦川 直人)

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フォーラムでは、一人暮らしをしている3名の方のお話を聞くことができました。皆さん、気管切開をされており、食事は経管栄養、人工呼吸器をつけて生活されている方でした。ご自身のことをお話してくださったのですが、気管切開をしており話すことができないので、事前に準備しておられた文章を支援者が代読するかたちで、自分たちの思いを伝えられました。その内容は、いろんなことを決めるのに自分で選択して決定して、今の生活があるということでした。

今の生活を手に入れるために、たくさんの壁があったことと思いますが、自分らしく生きたいという強い気持ちが人を動かし、希望が現実へと動いたのだと感じました。命の輝きと、たくさんのパワーと、明日への活力を頂きました。       (出会いの場ポレポレ 鹿子島功子)

 

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フォーラムでは、人工呼吸器をつけて在宅で暮らしている当事者3名の皆さんのお話を聞きました。「私たちの暮らし方」ということで発表され、とても感動しました。

そのお一人、バクバクの会編集長の平本歩さんを紹介します。バクバクの会とは人工呼吸器をつけた子の親の会で、アンビューバック(手動式人工呼吸器)を押す音がバクバクすることから名付けられたそうです。

平本さんは生後6カ月から人工呼吸器をつけ、現在24時間、つけて生活されています。退院後、私立保育園に入園され医療的ケアは研修を受けた保育士が保育の一環として行ったとのこと。プールに入ったり、キャンプに行ったりしたことは大切な思い出だそうです。

小中高校では「医療行為を保護者が責任もって行う」という条件つきですが、公立の学校に通われました。学校に通うと色々な困難があったそうです。2階への移動は危険を伴うのでだめと言われれば、2階への移動を公開実演して許可をもらったり、高校の最寄りの駅にエレベーターがなかったのでJRと交渉して設置してもらったりと常にバリアを乗り越えて来られました。学生時代の平本さんは、先生や介護士によるケアが受けることができれば父の付添いがなくてもいいのにといつも思っていたそうです。

卒業後、卒園した私立保育園にボランティアで先生として通い、園長先生に就労の意思を伝え1カ月後に返事をもらい、就労することになりました。お仕事はヘルパーさんと一緒にピアニカの演奏などをしているそうです。それから、助成金を受けて一人暮らしも始めましたが、風邪をひいたり、耳や体に出来物ができたりと体調管理の難しさを感じたそうです。

2人目は医療的ケア連絡協議会代表の岸本彩さん。シュシュやジェルネイルなどとてもオシャレが大好きな方です。

中2の時に誤嚥性肺炎になり、気管切開を余儀なくされ、経管栄養をすることになりました。ですが、先生が介助できなくなり、看護資格を持つ先生に頼むも断られました。そこで、昼食の時間に親御さんが来て経管栄養を行っていたそうですが、それがとても嫌だったそうです。その時は、重度児へ看護師派遣することを限定的に認めてもらい、私的、公的負担半々で行いその問題は解決しました。その後、特別支援学校の高等部を卒業され、大学受験を希望して別室受験を受けたそうですが残念ながら不合格。ですが、聴講生として週に1回大学に通われました。

そして、医療的ケアの必要な人の生活支援モデルとして、3LDKの部屋で折田涼さんとルームシェアをポムハウスで始めました。ストレッチャーの生活では、スロープや廊下、ドアの幅の制約がありますし、ヘルパーが多く出入りするなどの問題があったそうです。

現在は、医療的ケアの拡散、ヘルパー養成研修、自立生活体験ルームの開放などに取り組まれ、いろいろな所に外出したい、バスのストレッチャー稼働スペースが欲しい、毎日お風呂に入りたいなど希望があるそうです。

最後は、NPO法人ポムハウス代表理事の折田涼さんです。

幼少期にミルクを誤嚥して気管切開をし、人工呼吸器をつけることになりました。当時人工呼吸器を使う場所は病院に限られ、人工呼吸器をつけて外出、外泊するなど想像できなかったそうです。そんな中でも在宅で暮らすため、医師の指導を受けたり、自費負担で在宅設備を揃えたりして在宅生活を始めました。

小中高校と進学され、大阪から北海道への修学旅行もご両親抜きで参加。折田さんの周りにはいつも友達がいて、誰かが人工呼吸器の様子を気遣い、一緒に食事をし、笑い、楽しく過ごされ、医療的ケアが間近にあると、周りの人にとって当たり前になってくるとのことでした。

折田さんは普段、介助者への思いやりを持って接するようにしておられます。特に新人のヘルパーに対しては、どうでもいい話を聞いてあげたり、返事を大きい声でしてサービスしたりしているそうです。

3名とも共通しているのは、ご本人らしく生活するために、どうしたらよいか常に考え行動されていること。そして、それを支える人たちが周りに集まり、拡がってきたことだと思います。今後、私たちも支援する中で、「今、できないこと」を「できない理由」を探して避けていくのではなく、「できるようにする方法」を常に探してチャレンジしていきたいと思いました。

(出会いの場ポレポレ 前田 力哉)

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フォーラムでは、初めに平本さん、岸本さん、折田さんのお話を聞きました。皆さんは親元を離れそれぞれの道を進み、一人暮らしをされています。自分の夢に向かって頑張る3名の皆さんはとてもキラキラと輝いていて、お話を聞く中で考える事がたくさんありました。

障害がある、なし関係なく、何かを成し遂げることって本当に大変だと思います。人間は失敗を恐れ挑戦することが難しいこともあります。しかし挑戦していかないと経験や学びは得られません。今回このフォーラムでそれを改めて学ばせていただきました。

昼からも青野さんのコンサートや日浦さんのお話と刺激をいただいたフォーラムでした。

                           (出会いの場ポレポレ 碇)

 

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午前は「最強の三人」と言われるバクバクの会編集長の平本歩さん、医療的ケア連絡協議会代表の岸本彩さん、NPO法人ポムハウス代表理事の折田涼さんの、「自分らしく」を追究してきたそれぞれの物語を聞かせていただきました。重度心身障がい者と言われる3名の皆さんは豊かな子ども時代を過ごされ、現在は「地域の住人」として一人暮らし(24時間2人態勢で1カ月1488時間が必要)をされています。

折田さんは、「呼吸器、アンビュウは医療的ケアと言う特別なものではなく生活介助であって、親だけでなく誰もが手助けできるようになるためのケア研修が行われるようになった時、初めて一人の人として認められた気がする」と話されました。

午後からは青野浩美さんの素敵な歌声と語り、高校生のドラムの演奏に引き込まれました。

今回、社会の中で障害を抱えた彼らが困難を乗り越えながら自分の夢に向かって一生懸命生きている姿に圧倒されました。誰もが当たり前に「地域で生きる」ことの実現に向かって私も繋がっていきたいと思います。元気と勇気をもらった研修会でした。 (御井あんだんて 森田さかえ)

 

〇「誰もが暮らせる地域づくりフォーラム2015 いのちと存在の価値~誰もの社会的はたらきを明確に~」

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9月、柳川療育センターにて、医療的ケアの必要な方への支援について研修をしました。専門的な知識や技術、環境、体制整備の大切さを学びました。

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9月7日、8日の両日、社会福祉法人高邦福祉会 柳川療育センターにて「医療的ケア」の知識や技術を学ぶことを目的に、当法人から6名の職員が実習に参加しました。

柳川療育センターは、障害を持つ方々が社会の中で快適に生活できるように、入所と外来のサービスに努め、リハビリテーション、療育等も行っておられます。

今回、参加者の研修報告を紹介します。

 

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今回、お世話になった柳川療育センターの松尾看護部長は、2003年9月、当法人が重症心身障がい児(者)のガイドヘルパー養成研修をする際に、講師としてお願いした方です。お会いした時、フットワークの軽さと、重症心身障がい児(者)支援へのみなぎるような熱意を感じました。その時も、そして12年後の今もですが、「いつでも柳川療育センターに研修にいらっしゃい」と多くの人に呼びかけ続けておられ、実際に大勢の実習生を受け入れ、丁寧に熱心に教えておられます。今回も松尾看護部長を始め、医師や看護師、事務職員など全ての職員の方々が、私たちを実習生として快く引き受けてくださいました。柳川療育センターは名実ともに、「地域に開かれた医療療育施設」だと実感しています。

今回、当法人から私を含めて実習生として6名が喀痰吸引研修を受けました。看護師の3名の皆さんに付いてもらい、こちらの要望に応じて丁寧に教えていただきました。お忙しいのに、1日目はオリエンテーション、2日目はきちんと反省会の機会をもっていただきました。高齢化、重度化していく当法人にとって、とても有意義な研修になりました。12月までに、さらに9名のスタッフにこの研修を受けさせたいと考えています。   (常務理事 馬場 篤子)

 

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柳川療育センターの入所者の皆さんは、ほとんどが喀痰吸引や胃ろうをつけておられ、細やかな医療的配慮が必要な方たちばかりで、パルスオキシメーターや人工呼吸器、吸引器、酸素などの医療器具が至る所にありました。

オリエンテーションでは、話を聞くだけではなく、横になってベッド上での視線確認、ペースト食を食べる、特殊浴槽での入浴など実際に自分で体験するプログラムが組み込んであり、座学だけでは得られないたくさんの気づきがありました。

現場では、朝の起床介助から夕食まで、着替え等の身体介護から痰吸引、導尿等の医療的ケアまで、看護師さんに付いて見学しました。朝礼では、医療用語を使い一人ひとりのバイタルや状態について細かく引き継ぎが行われていました。介護職の私たちには分からない言葉がたくさんでした。また、痰を出しやすくし、感染予防に効果的だという、陽・陰圧体外式人工呼吸器(RTXレスピレータ)や人工呼吸器(VPAP)を使用したケアも見学しました。

やはり、医療的ケアの必要な方については、専門的な知識や技術、環境が必要であることを改めて感じました。研修で学んだことを当法人の体制整備に活かしていきたいと思います。

                        (グループホーム責任者 浦川 直人)

 

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柳川療育センターでは、重度の障がいを持つ方々が医療や介護、教育、リハビリなど総合的な

サービスを利用しながら365日を暮らしておられます。50名の方が過ごすには、大きな理念と職員の方の細やかな配慮がなければ安全な暮らしは保たれないと感じました。

言葉はなくてもコミュニケーションを図ろうとし、音を聞いたり触ったり重さを感じるなど五感に働きかけることで世界を広げ、その場所で皆さんが一所懸命に輝こうとされている姿が印象的でした。                                                (出会いの場ポレポレ 上村 千尋)

 

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重度心身障がい児(者)施設「柳川療育センター」の研修に参加し、まず職員の方々がテキパキと笑顔で働いておられる姿が印象的でした。そして、医療的ケアが必要な重度心身障がいの方々の現状を見せていただき、福祉現場の中で働かせてもらっている私は医療の大切さと福祉の関連性を改めて感じた二日間でした。

研修では、看護師の方に付いて入浴体験等をしましたし、特におむつ交換や衣服の着替え、食事介助といった基本的な介助を学ぶ機会となり、とても勉強になりました。トイレや床等がとても清潔に保たれていたことなど、私たちが早速できることから実践していきたいと思います。ヘルパーとしての基本の「基」を学ぶことができました。    (御井あんだんて 森田さかえ)

 

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拓くでは、医療的ケアが必要な重度心身障がい児(者)を対象とする事業が始まり、そのための知識や技術を学ぶため柳川療育センターにて研修を行いました。同センターでは、重度の知的障がい及び重度の肢体不自由が重複している幅広い年齢の方が入所され、これを保護するとともに治療及び日常生活の指導が行われています。

業務は一人ひとりの状態の申し送り→検温→日中着への着替え→処置→リハ(呼吸・身体等)→療育等。それぞれに必要なケアが丁寧に行われています。それらにより血中酸素飽和度100%か、それに近い状態に保たれています。

松尾看護部長の強い信念の基、職員がそれぞれの職種の専門性を尊重し、学び合い、入所者の生命や生活を守っておられる姿が随所に見られました。医療・療育両面から入所者のために良いと思われる事に沢山取り組まれていました。

お話を聞く中で、入所であるがゆえ、その命や生活は、対応する職員の力に左右されるという言葉がありました。又、生活を守る情報が職員間に共有されており、ケアに結びついていました。在宅での医療的ケアには壁も沢山ありますが、知識の裏付けの基、その方々が自宅で安心・安全に暮らせるような手助けが沢山できるよう努力する大切さを感じる研修でした。 (看護師 渡邉 智香)