社会福祉法人 拓く

お知らせ (研修)

7月、「第12回日本グループホーム学会 全国大会in京都」に参加しました。 キーワードは、シェアハウス、意思決定支援…。“あつい”出合いがたくさんありました。

 

2015年7月11日(土)・12日(日)、京都市で開催された「第12回日本グループホーム学会 全国大会in京都」に、当法人より7名が参加しました。

主催は、障害のある人と援助者でつくる日本グループホーム学会です。

参加した6名のレポートをここで紹介します。

 

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2013年に当法人が事務局を引き受け、久留米市で開催した第10回全国大会は、当日、700名を超える参加者でした。昨年は「福島」、そして今年は「京都」での開催となり、熱き出会いの場となっています。

グループホーム学会との出会いは約10年前。北海道伊達市の小林繁一さんが、九州に学会委員がいないので、学会委員を担って学会を開催して欲しいと依頼がありました。福岡市のリーダー的存在の進藤施設長と話し合いをし、後日、野の花学園で学会を開催することになりました。こうしてグループホーム学会は九州に上陸したのです。

その打ち合わせのために、当時のグループホーム学会会長の室津滋樹さんにお会いすることになったのですが、それは当法人にとってはとてもラッキーな出会いとなりました。2006年1月8日、長崎県大村市の認知症高齢者グループホームの火事(7名の高齢者が亡くなられた)の調査を兼ねて九州に来られるということで、私もお願いして調査の同行させていただきました。火事から1週間も経っていなかったので、焦げた匂いがし、生々しく痛ましかったのが印象的でした。立地は海岸が見える風光明媚な場所でしたが、周辺に民家がなく、腰の高さにある窓で、火災が起きた時、救出、初期消火、通報などすべてを1人の夜勤者でするなどできないということがまざまざと分かりました。

その頃、当法人は重度心身障がい者が入居するグループホーム「ニュンバ」を建設中でしたが、その運営に悩んでいたところ、室津さんから、ヘルパーを利用するスタイルにしたらというアドバイスをいただきました。そのアドバイスのお陰で、現在、どんなに重い障がいの方も、少人数でも、グループホームで暮らし続けることができています。

グループホーム学会には毎年、数名の職員や保護者、当事者を誘って参加しています。この大会に参加すると初心や大切なものに立ちかえることができます。  (常務理事 馬場 篤子)

 

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当法人は、ある入居者の家庭の事情で、本格的にグループホームの365日体制に向けての取組みを始めたところです。ほんの数ヶ月ですが課題が次から次に出てきます。限られた収入、手厚い人員配置が取れない中、グループホームでどうすればより豊かに生きられるだろうか、といろいろな課題を胸に本大会に参加しました。

本大会は「シェアハウス」「意思決定支援」「人材確保&育成」「厳しくなる消防法」「地域生活支援」などをキーワードに多角的な視点からのプログラム構成でした。

グループホーム入居者も登壇され、「障害の軽い人も、周りから分からないと思われているような障がいの重い人でも意志は必ずある。壁を叩いたり、表情を変えたり、いろいろな方法で意志を表していると思う。どんな人でも何かを決める時には入れて欲しい」「自己決定で大切なのは結果ではなくプロセスだ」という発言は考えさせられました。

講義の中で特に印象的だったのが、次のような点です。

「グループホームの暮らしを考える上で、なぜ施設や病院が駄目なのか。もう一度原点に立ち返り、考える必要があるのではないか」

「管理の対象となっていないか」

「ますます自己決定から遠ざかっていないか」

「本人を中心にみんながエンパワメントしていく支援こそが地域支援ではないか」

「これまでは制度がないところから創り上げてきた時代があり、今はたまたまサービスとしてあるが、一番恐れるのは、結果的に制度にはまってしまう(保護的に人の存在が始末されていく)こと。そこに陥らないようにみんなが立ち上がっていくことが大切である」

以上のように、グループホーム学会の理念「誰でも自分の意志にもとづいて、地域で暮らせる権利をもっています…」のエッセンスがたくさん詰まった講演会でした。これから私たちが事業を推進するにあたって、その都度原点にかえり、考えていく必要があると改めて感じました。

また、グループホームを実際に運営している人たちと意見交換することができたことはとても有意義でした。どこも同じような課題がありながら、次々に出てくるニーズや課題に揺らぎながらも、何とかしたいという思いに突き動かされながら推し進めていかれています。これからも県を超え、他の事業所とつながりながら、より良い暮しの支援を模索、展開していきたいと改めて感じました。                        (地域支援課 浦川 直人)

 

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今後のグループホームのあり方や、それぞれの暮らしをどう支えていくのか、課題山積の今、大事にしていくべきことがはっきりと見えてきた2日間でした。

「どんなに障害があろうとこの街で暮らし続けたい」ということを追求し、グループホームは立ち上げられました。ふと考えます。自分からグループホームでの暮らしを選んだ人はいるのでしょうか?ご本人さんに、今こそ「どこで・誰と・どんな風に暮らしたいか」を投げかける事も必要ではないでしょうか。かけがえのない人生の中での出来事を何かの形で選択し、決定する事は大事なことだと考えさせられます。

そして、小さな体験や経験を日々の暮らしの中で積み重ねる中、リスクもあり失敗を犯すこともあるでしょうが、どんな時もご本人に寄り添いサポートすること。また、使いうるあらゆる表現・表出・表明方法を駆使してご本人自身が想いを表明することを支援することが大事であると再認識しました。グル―プホーム・サテライト・一人暮らし・シェアハウス・家で暮らすといった様々な形の暮らし方が広がるようになれば良いと思います。    (地域支援課 安倍弥生)

 

IMG_0129  グループホーム当事者委員会の題目

 

支援スタッフにとって、支援の行き詰まりや、孤独感を感じることは少なくありません。相談や会議を経て解決するべき悩みがなかなか解消されず、結果、そのストレスに押し潰される…。

そういった状況を避けるための独自の取り組みを、北海道にある「はるにれの里」さんから講義を受けましたので、ここで紹介します。

まず、スタッフが一定水準の技量を身に付けられるよう、定期的に研修会を開催するということ。これは当法人でも行っていることとは思いましたが、ユニークなのは、懸賞金を設定して実践レポートの発表会を行っている(!)という点です。大胆な取り組みだとは思いますが、それぞれの技量を把握したり、支援方法を確認しあえたり、切磋琢磨と相談連携を並行して行える、面白い試みだと感じました。

次に、スタッフのメンタルケアのため、ストレスチェックアンケートも行っているとの事です。

アンケートには、もちろん不満も少なくない様ですが、そこで挙がる意見を若手で構成された「将来構想委員会」で議論し、運営委員会に提起していく事で、勤務体制やチーム体制の見直しに繋げているとの事でした。

「はるにれの里」さんがスタッフのメンタルケアに一番必要としているのは、人と人の繋がり、相談しあえるチーム体制だそうです。ふと気づけば相談を忘れ、孤独になりがちな支援者が、同僚や上司との繋がりを保ちながら、時には競い合い、前に進むための組織づくり…。講義を聞いて、とても勉強になりました。機会があれば、一度実際に見学してみたいです!

                          (出会いの場ポレポレ 姫野 健太)

 

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7月11日(土)・12日(日)、京都で開催された第12回日本グループホーム学会全国大会に参加してきました。障がい福祉を巡る諸制度は大きく変化しています。グループホームに入居される方々も全国で9万人を数える程になったそうです。

今回の大会では、「意思決定支援のあり方」や「スタッフの確保・人材育成」など、現在、私自身も頭を悩ませている部分が議題に挙がっていました。その中で、グループホームが入所施設化しているのではないかとのお話もありました。

365日体制や福祉サービスの縮小傾向がある中で、今後どのように入所施設との差別化をしていくのか。これは、周りが決めるのではなく、しっかりとご本人を中心とした個別支援を進めていかなければならないと改めて感じました。

(出会いの場ポレポレ 前田 力哉)

 

 

 

7月11日(土)・12日(日)、僕はグループホーム学会として京都に向かいました。

1日目の昼食は、ニシンうどんを食べました。なかなか美味い珍しいうどんでした。

テルサからバスに乗り、蒸気機関車の展示された博物館で蒸気機関車をいっぱい見ました。

続いて、京都水族館ではイルカショーを見たり、クラゲ等を見たり。京都水族館も悪くなかった!

京都のグルメも美味いものがいろいろあって良かったし、様々な人と色々話したりできて本当に良かったと思います。                (当事者    南の家ほっと 池田 遼)

 

■開催概要

2015年7月11日(土)~7月12日(日) 京都市

主催:障害のある人と援助者でつくる日本グループホーム学会

共催:日本グループホーム学会 全国大会in 京都 実行委員会

 

■大会開催の趣旨
障がいのある方の地域生活に、グループホームは大切な役割を担ってきました。

入居される方々も9万人を数えるようになりました。一方で入居される方々の高齢化や重度化への対応が急務とされています。まさに多様な課題に直面している今こそ、当事者の声が大切にされる居場所を広げていく必要があるといえるでしょう。

 

 

 

 

 

3月 全体スタッフ会議で、平成27年度事業計画の重点実施項目を確認。  虐待防止の勉強会も実施しました。

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3月28日(土)、恒例の全体スタッフ会議が開催されました。

平成27年度の事業計画の重点実施項目の一つとして、ホームページの更新を掲げられていました。今回、改めてホームページを見てみると、様々な行事や研修会に参加してのスタッフの感想や報告が掲載されていました。他にも「安武そら豆が実をつけています」や「惣菜処ぽれぽれで店舗の一部改修工事が行われました!」「12種類の地産地消のこだわりのおかずに豚汁付きの1200円弁当の大量注文を受けました!!」等々の記事が写真付きで掲載され、関係者の意気込みまでが伝わってきます。

現在、当法人のスタッフ数は133名。外部への情報発信は勿論のこと、スタッフ間の情報共有のためにも、今後もしっかり確認していきたいと思いました。

 

事業計画では、他に工賃アップの取り組みとして関係事業所の役割・機能の整理を行い、商品の外観・味覚・デザイン等に優れた独自ブランド商品の開発を進めることや農業生産のためのスタッフの技術習得等が挙げられていました。

又、通所者・入居者の皆さんが安心して地域生活を送るための体制づくりとして喀痰吸引や強度行動障害支援者養成等の研修に向けた準備を始めているとの報告がなされました。

 

最後に、相談支援員の大力さんによる虐待防止についての勉強会がありました。福岡県内の知的障害者更生施設での虐待事件を例に挙げ、「虐待を行っているスタッフを見ていた周りのスタッフ全員が『良くない事』だと認識し疑問を感じながらも、パニック時の対処法が分からず、忙しさも加わり、その状況が常態化し事件に発展していった」という経緯を知りました。とても怖い話ですが、決して他人事ばかりとは言えないと話されていました。

又、利用者さんの名前を「ちゃん」付けで呼ぶのは虐待にあたるか否かを、みんなで考える時間が設けられました。自分たちも知らずに不適切な行動をしているのではないか?このような一つひとつのことが虐待につながる可能性のあることを心に留めておいてほしい、とのお話が心に残りました。

 

出会いの場ポレポレでパートスタッフとして関わって、早10年になります。様々な研修に参加し、スタッフや利用者の皆さんと関わる中で多くのことを学ばせていただき、日々楽しく仕事ができていることに感謝しています。        (パートスタッフ 長沼美重子)

 

 

 

2月 第2回介護ニュービジョンセミナーに参加しました

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2月23日(月)、一般社団法人日本在宅介護協会九州・沖縄支部の主催による「第2回介護ニュービジョンセミナー」が、学校法人麻生リハビリテーション大学校にて開催されました。

今回は間近に迫った「介護保険法改正」、福岡県における「認知症施策」についての2部構成。

当法人より研修として参加した2名のレポートを紹介します。

 

 

いわゆる「2025年問題」という言葉がよく聞かれるようになりました。2025年は団塊の世代が75歳以上の後期高齢者になる年です。2200万人、4人に1人が75歳以上という超高齢社会が到来します。これまで国を支えてきた団塊の世代が給付を受ける側に回るため、医療、介護、福祉サービスへの需要が高まり、社会保障財政のバランスが崩れると想定できます。これに備えて、国は公的なサービスだけでは対応できないと考え、自助、共助の力を高めようと少しずつ政策誘導をしています。

来年度、介護事業者は報酬改定により、軒並み報酬が下がり、事業を継続できなくなる事業者も増えてくると思います。また、「認知症」の方が増大すると思いますので、地域包括ケアシステムが急がれます。

そこで、当法人が既に行っている「地域食堂」や「笑顔の会」「つむぎの会」「住民による移動支援『でてこんの』」などを介護保険の総合事業に位置付けるかどうか、法人内部でも、市とも協議していきたいと考えています。 (常務理事 馬場篤子)

 

 

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 【講演内容】

●介護保険制度改正と今後の展望

一般社団法人シルバーサービス振興会

常務理事 中井 孝之

●介護予防・日常生活支援総合事業について

●「認知症施策推進総合戦略(新オレンジプラン)」

  ~認知症高齢者等にやさしい地域づくりに向けて~

 

 

日本在宅介護協会とは、「介護サービス事業の質的向上と充実」「広く一般に対する啓発・普及」「民間事業者の健全な発展を促し、高齢化社会の安寧に寄与する」という目的を持つ団体であり、全国250の事業者が会員として参画しています。

今回の研修では、「介護保険制度改正と今後の展望」や「福岡県における今後の認知症施策」という、これから介護福祉がどう動いていくのかという視点での講演がありました。

これから迎える超少子高齢化社会を目前に控え、これまで以上に介護の重要性は高まってきます。

さらには、住み慣れた地域で自分らしい暮らしを人生の最後まで威厳をもって続けることができるよう、医療・介護・予防・生活支援等が一体的に提供される地域包括ケアシステムが求められます。

つまり、医療・介護・予防・生活支援等が一体となり、その地域に住む高齢者や障がい者を支える力がもっと必要になるということです。これまでの公助(行政による支援・公的なサービス)でなく、自助(他人の力によらず、当事者本人の力で課題を解決すること)や互助(当事者の近くにいる近しい人が自発的に手を差し伸べること)という考え方にシフトしていくのです。

当法人の大きな目的でもある「日常生活を地域社会において営む」という事が大きくクローズアップされている今、拓くでも介護従事者における喀痰吸引研修の開催や医療的ケアが必要な方への支援を通して、これから大きく変わる時代の流れに遅れまいと取り組んでいます。

出会いの場ポレポレを利用されている皆さんのことを考えて取り組む事は、これからの自分の暮らしを考える事にも繋がり、安武のこれからの事を考えて取り組む事は日本全体の事を考える事にも繋がります。今回の研修は、自分が考えても何も変わらないという思いを捨て、まずは身近な人たちのために動くことが必要なのだと改めて感じる機会となりました。

(ポレポレ介護支援センター 中村)

 

2月 日本グループホーム学会 全国大会(京都)プレ集会に参加しました  若いスタッフも大いに刺激を受け、良い研修の機会となりました。 

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2月22日(日)、京都市の京都テルサにて開催された日本グループホーム学会全国大会プレ集会に、当法人より4名が参加しました。

テーマは、「地域に居場所を作り出す支援力~行動障がいのある方の暮らしを考える~」。

主催は日本グループホーム学会です。

研修として参加した4名のレポートをここで紹介します。

 

 

今年の7月に京都市で開催される「第11回日本グループホーム学会・京都大会」のプレ集会に駆けつけました。

当法人の恩人である故広瀬明彦さん(京都府・社会福祉法人相楽福祉会)の息子さん、朋君たちが頑張っていることもあり、20代の若手職員3名を連れて行きました。

基調講演では、「慌てず焦らず諦めず 地域の中に居場所がある~その行動障がいとどう付き合うか~」を演題に、社会福祉法人森と木の岸田隆さんが登壇。「行動障がいのある方の暮らしを考える」という視点で、「福祉サービスを利用していても地域から存在感を消すことではない」「特殊な人たちが特殊な場所で生きていくことをしてはならない」と話されました。

実践報告では、NPO法人出発(たびだち)のなかまの会の石井香里さんが、「だれもが暮らしやすい地域づくりをめざして」という視点で、「本人中心に支援の幅を広げていく、本人の力で暮らしをつくっていく、解決していくことが大事」と発言。

どちらのお話も、当法人が目指している姿と一緒です。これから若い職員が中心となってその姿を実現していってほしいと思いました。

若手3人は、その夜遅くまで飲み交わしながら喧々諤々と打ち合わせ。早速、何かを始めるようです。がんばれ、若い世代!   (常務理事 馬場篤子)

 

 

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今回、「行動障がいのある方の暮らしを考える」という地域生活をテーマにした講演をお聞きし、私も実践している職員として多くを考え、学ぶ事ができました。中でも「特殊な事をするのではなく、その人が生活しやすい環境を作る」という言葉が一番印象に残っています。

それは簡単な事に思えるかもしれません。でも実際、私達は本当に利用者の皆さんが望んでいる支援を行う事が出来ているだろうか?私自身、どこか自己満足のような支援を行ってきたのではないか?など、自分自身をもう一度見直す事ができました。

夜に催された懇親会では、他の事業所の若い職員の方々と多くを語り合いながら交流し、若い力で何をすべきかと考えるきっかけになったと思います。

今回考えた事を今後の業務に活かしていきたいと思います。(出会いの場ポレポレ 児玉元気)

 

 

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日本グループホーム学会は、以前からとても気になっていた学会です。会場にてお聞きしたお二方の講演は、「共に生きていく事」そして「利用者の皆さんが主体となって楽しみ(役割)を持つ事が大切」という点がとても印象に残っています。

自分の好きな事をしている時は、ほとんどの方は幸せな瞬間ではないでしょうか?

何がその方にとって一番幸せで楽しいと思っていただける事なのか。それを皆で一緒に考えていく事が大切なのだと感じました。

夜は他の事業所の方々との懇親会に参加しました。年が近い支援者の方とお話をする中で、現状を更に良くしていきたいと願っている事は皆一緒だと実感できて良かったです。

利用者の皆さんが楽しめるような場所にしていくためには、まずは「挑戦」する事。そして「失敗」してもそれを「経験」として積み重ねていけば、また新たな道が拓けるのかなと思います。今回の学会は、改めて自分自身を見つめ直せる良い機会となりました。  (ポレポレスタッフ 碇 翔南子)

 

 

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今回の大会は、「地域に居場所を創り出す支援力」というテーマで行われました。

地域で暮らしていく中では、その人らしく生きていける場所を創っていくことが大切であり、どんなに重い障がいを持っていても、「自分らしくいられる事」「お互いの違いを認め合える事」が必要だとのお話でした。

私たちが行っている支援は、そのような視点を持ちながらできているかと、改めて考えさせられました。メンバー主体と思っていても支援者が指示をしたり、最初からできないと思って接してしまったりする事があるのではないのか。それは、その人らしく生きていくのを奪ってしまっているのではないのか?と強く感じました。

また、講演の中で、「全ての人は生きがい(役割)と楽しみをもち、穏やかで豊かな生活をしたいと願っている」とありました。その人にとって生きがいをもって毎日をイキイキと過ごしていくという事は何なのか。それは、その人と寄り添い、考えながら探っていく中できっと見つかっていくと思います。

他にも「支援の敗北とは、希望を失う事、誰かのせいにする事、排除する事、無関心になる事」との言葉がありました。今後、実践をしていく中で、様々な壁にぶつかると思います。そんな時にこの言葉を思い出し、諦めず挑戦する姿勢を持ちながら一歩ずつ進めていこうと思います。  

(ポレポレ 小川真太朗)

 

1月 NPO法人あさがお(南相馬市)多機能事業所の開所式に出席しました  昨年11月 東北の石巻市、福島市を視察しました

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NPO法人あさがお 多機能事業所「ともに」

NPO法人あさがおさんのホームページをぜひご覧ください   http://www8.plala.or.jp/asagao/

 

1月、福島県南相馬市にあるNPO法人あさがおの西みよ子理事長からお電話があり、1月15日に多機能事業所「ともに」の開所式を行うとのお話でした。

2011年3月11日の東日本大震災からもうすぐ4年。NPO法人あさがおさんがここに至るまでには計り知れないご苦労があったことでしょう。そんな中でも、たくましく次の事業に踏み出していく西さんたち。今回、精神障害者の生活介護・自立訓練施設を備えた居宅介護の多機能事業所「ともに」を新築されたのです。

建築単価の高騰で当初の予算の倍以上の資金繰りが必要だったこと。精神障害者の事業所ということで、隣の家の人たちから反対にあい、何度も説明会を開かれていることをお聞きし、ぜひとも開所式には応援に駆けつけたいと思い、急いで飛行機の手配をしました。

また、こんな時に一番の力になれるのは利用者の皆さんだと思い、急ではありましたが、ビデオレターでメッセージを作ることにしました。まず、「BELIVE」という曲をみんなで歌い、それから「おめでとう!」と力強くみんなでお祝いの言葉を贈りました。

1月15日の開所式で、そのビデオレターを流していただくと、会場の皆さんも寄り添うように歌っておられ、西さんを始め、多くの方々が目を潤ませ感激されていました。

当法人で開催しているポレポレ祭りには、大変な状況の中、4年連続で駆け付けてくださった「あさがお」の皆さん。心ばかりですが、エールを贈ることができたかなと思っています。

(常務理事 馬場篤子)

 

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西みよ子理事長                                 馬場篤子常務理事

 

昨年の11月に東北を訪問しました。東日本大震災から3年8ヵ月を経過していたこともあり、私が震災当時の様子をうかがえたのは、建物があっただろう処に何もなく、ただ広い荒れた更地になっていたということ。その広い土地をダンプトラックが行き交い、仮設住宅が所々に点在していました。

宮城県石巻市から福島県まで当時の様子をお聴きしながら移動した後、仮設住宅で暮らす方々にお会いし、お話を聞かせていただきました。地域によって復興状況も異なり、課題もさまざま。東京オリンピック開催が決まり、喜ぶ人が多い中、復興を待つ地域では、働き手を東京に奪われ、ますます工事が進まないということもお聞きしました。5年後の2020年、東京オリンピック開催時、東北の復興は、どこまで進んでいるのでしょうか?被災者の皆様も、テレビの前で東京オリンピックを楽しまれることを願います。

今年は、阪神淡路大震災から20年。多くのテレビ番組で今の様子と当時の様子が放映されていました。町並みは復興したけれど、人々の心は復興したとは言えず、未だに多くの方々が苦しまれています。東北においても、年月が流れて町並みは少しずつ復興しても、原発により未だ避難生活をされている方々もいる中、今、私たちができることは、思いを寄せながらつながり続けていくことだと思います。

 

また、今年の1月15日、NPO法人あさがおさんの多機能事業所「ともに」の開所式に、馬場常務と一緒に日帰りで行ってきました。あさがおさんは、当法人が秋に開催している「ポレポレ祭り」に毎年来てくださり、焼きそばや手作りのお味噌などを販売していただいています。

震災当時は、福島第一原子力発電所の放射能漏れから逃げるため、転々と活動場所を移されました。今回、「ともに」という新しい場所でまた頑張ろうと笑顔いっぱいの皆さんを見ることができ、私もパワーをいただきました。

式典では、当法人の利用者の皆さんのビデオレターを披露し、「BELIVE」を一緒に歌ってきました。「ともに」の名前のように、私達も遠く離れた久留米から思いを寄せて「ともに」がんばり、応援していきたいと思います。              (本部長 北岡さとみ)

 

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ビデオレター

 

※多機能事業所「ともに」

精神障害者の生活介護・自立訓練施設を備えている。

同市をはじめ、原発事故で避難を強いられている双葉郡の障害者らを受け入れる。

施設は2階建てで定員20人。

風呂や台所の他、運動や集会に使える多機能スペースを備える。

看護師、精神保健福祉士らが常駐し、利用者のケアに当たる。

緊急用の水、食料を備蓄し、万が一災害が発生した場合には障害者の受け入れ拠点としての役割も担う。

(資料「福島民報」より)

 

2月 滋賀県で開催された「アメニティーフォーラム19」に参加しました

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2月6日(金)から8日(日)までの3日間、滋賀県の大津プリンスホテルにて「アメニティーフォーラム19」が開催され、当法人スタッフの4名が参加しました。

 3名によるレポートをここで紹介します。

 

 

北岡賢剛氏(社会福祉法人グロー理事長)が長年企画・演出してきた「アメニィティーフォーラム」は第19回目を迎えました。北岡賢剛氏に誘われ、当法人のスタッフは第6回目から参加しています。19年間、大津プリンスホテルを埋め尽くす1,000人以上の参加者。早朝から夜中まで3日間、多くのセッションや講演があり、そのどれもが満足度の高い内容で構成され、リピーターも多いフォーラムです。

また、このフォーラムは同時に、厚生労働省の幹部職員や国会議員も登壇される政治の場でもあります。当初は障害者福祉だけでなく「日本の社会」をどうしていくのかと、例えば、若い学生も連れて大勢で参加したくなるような新しい息吹を与えるフォーラムでした。今年の参加者は確かに若者が多かったのですが、日本の障害福祉や介護福祉が閉塞状態になっているためか、どことなくワクワクとする躍動感は少なかったように思います。

個人的には、北山修氏(精神科医・臨床心理士)による特別講演「生々しい何かと脅迫 ~なぜ、作品に巻き込まれるのか~」が印象的でした。江戸時代の浮世絵をもとにしたお話で、私たち世代と時代が異なり育った若者たちは、決して私たちと同じ感覚や認識にはなりえないということ。つまり、「『あの素晴らしい愛をもう一度』なんてことはない」。これから法人の世代交代を図る上で、しっかり肝に銘じておかねばならないと思いました。

このフォーラムも来年は20周年。北岡氏も50歳後半です。少子高齢化社会。これから時代は大きく動きそうです。その時代を切り拓くためにどのような企画をされるのか楽しみです。  

(常務理事 馬場篤子)

 

 

今回のフォーラムでは、一昨年に成立した障がい者差別解消法や、社会福祉法人改革、虐待とそれを防ぐための職員の技術の向上等、昨今の障がい者福祉の現場を取り巻く様々な変化をテーマに、優に30を超える数のセッションが設定され、多くの充実した議論が展開されました。

今回、同フォーラムに参加させていただき、多くの新しい視点を得ることができたことに感謝しています。

中でも、障がい者差別解消法を巡り、これから求められるであろう「障がい者への合理的配慮」と今、まさに求められている「個性的なものを伸ばす社会」の間に存在する大きな可能性を論じた基調講演。

また、日本の福祉水準を諸外国と比較したセッションにおいて、今の日本の状況はかつてスウェーデンが人口減の危機感から支え合いの哲学に変化した頃に似通っているとの指摘。

そして、浮世絵にみる母子関係に精神分析の視点を当て、そこから浮かび上がる日本人のつながりの原型と今日の日本人の和の崩壊を大胆に論じた北山修先生の講演はあまりに衝撃的で、未だその内容を消化しきれず、今も私の頭の中をくるくると回っている状態です。

さらに、行動障害の一連の講座などで得た学問的な視点は、これからの日々の活動の中で常に意識し活かしていきたいと考えています。  (出会いの場ポレポレ 内田)

 

 

今回、「アメニティーフォーラム19」に参加し、時代の流れは日々変わっていっていることをとても強く感じました。私たちの現場での課題を解決することも大事ですが、これからは、地域や異業種の方々の課題を一緒に考えていくことが必要になっていくと思います。

そして、小さなつながりもつながっていけば大きなつながりに変わることがあるかもしれませんので、これからも多くの人と関わって力になっていけたらと思います。

まずは、私たちのことを皆さんに知ってもらうところから始めていこうと思います。

(夢工房 野瀬 渉)

 

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■アメニティーフォーラム

毎年2月上旬に滋賀県大津市で開催される障がい者福祉の大規模なフォーラムです。

今回は第19回目で、障がい者福祉に興味・関心のある方々が全国から集まる日本最大級の催し。

著名人や国会議員、関係省庁、自治体、支援団体などの主要な方々が登壇し、講演やパネルディスカッションを行う他、コンサートやパフォーマンス、バリアフリー映画の上映など多彩な催しが行われます。

 

1月10日(土)・11日(日) 「コンサート&講演会」を開催しました 重度障がい者や障がい当事者の地域生活の支援について考える機会となりました。

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2015年1月10日(土)・11日(日)の両日、難病のため気管切開で声を一度は失いながらも現在は歌手である青野浩美さん(京都府)と、とりわけ重い障がいのある方の地域生活を切り拓いた西宮社会福祉協議会事務局長の清水明彦さん(兵庫県・青葉園前園長)のお二人をお招きし、「コンサート&講演会」を開催しました。

この行事の開催にあたっては、実行委員会の「重度障がい者の地域生活を考える会」を立ち上げ、当法人を始め久留米市内の重度障がい者の支援に関わる事業所や団体が一体となり、広報活動や当日の運営などに取り組みました。

1日目の会場は出会いの場ポレポレで開催し、参加者は90名。2日目は聖マリア学院大学で開催し、111名のご参加をいただきました。

 

チラシ(表) 開催チラシ

 

今回の「コンサート&講演」は、難病を患い気管切開を余儀なくされながらも声楽家の道を切り拓いた青野さんの体験談を交えてのコンサートから始まりました。

会場に歌声が広がった時は、カニューレ(※)を装着されているとは思えないほどの美しい声に驚くと共に、気管切開をした人はよどみなく歌う事が出来ないのではというこちらの意識を変えました。

青野さんは、医師から「気管切開した人が歌えるようになった前例がないので無理だ」と言われながらも諦めずに、適合するスピーチカニューレ(声を出すことができるカニューレ)に何度も挑戦。ついには歌えるようになった実体験から、「前例がないからといって諦めるのではなく、前例がなければ作ればいい」という力強いメッセージをいただきました。

最後の曲は「BELIVE」。曲中の「悲しみや 苦しみが いつの日か 喜びに変わるだろう…」という歌詞に深い思いを込めて歌われ、多くのエネルギーと元気をいただきました。

 

次に、清水さんが登壇され、重度障がい者の地域生活を切り拓いてきた数十年に亘る実践をもとにお話をしていただきました。中でも、「当事者の“地域で役割を持って生きる私”という主体性が、制度やサービスの枠にはめられることで保護的に始末されていないか。当事者を主体から外さず中心に置き、傍にいる人が心を一つにし共に鳴らしながら物語を一緒に創っていくことが大切」という言葉は心に残り、とても考えさせられる内容でした。

最後に「介護を受けながら生きていくという点では、障がい者も要介護の高齢者も一緒であり、高齢化社会が進む中で、障がい者がどう生きているかは高齢化社会においてモデルになるのではないか。結局は、障がい者の生き方を考えることは、自分たちの生き方を考えることにつながる」と締め括られました。

そして、福祉職員へ向けて「何をもってやりがいとするのか。命をむき出しにして生きる障がい当事者に対して、日々、心が鳴らし合うことをやっているか」とのメッセージをいただき、何のために働くのかという原点を見つめ直す機会となりました。

今回の開催は、参加されたお一人おひとりが重度障がい者や障がい当事者の地域生活の支援について考える契機となり、少しでも重度障がい者の当たり前の地域生活がこの久留米で進んでいくような機運の醸成につながったと確信しています。このような機会をこれからも創っていきたいと思います。

                 (「重度障害者の地域生活を考える実行委員会」 中野みどり)

 

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※カニューレ 気管切開された方が用いる空気の通路となるパイプ状の医療器具

 

11月 人命救助研修を行いました

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11月8日と11月15日の2日間、久留米消防署より救急救命の講師(3名)に来ていただいて、出会いの場ポレポレにて人命救助についてのお話と実際に心肺蘇生法の手順とAED(自動体外式除細動器)の使い方を学びました。私は以前学んだことがありましたが、いざやってみるとなかなか出来ず苦戦しました。しかし、消防署の方に一つ一つ丁寧に教えていただき、また何度も繰り返し行うことで少しずつ出来るようになっていきました。

 

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その後は、ひたすら2分間の心臓マッサージを行う体験をさせていただきました。2分間という時間は短いようですが、いざやってみると、とても長く感じるもので、終わった頃には手のひらが真っ赤になるほどでした。短いようで長いこの2分間は生死を分ける大切な時間なのだと考えさせられました。

人命救助は一分一秒を争い、その時間が、その後を大きく変えてしまいます。私自身もいつその場面に遭遇するか分かりません。今回学んだことを研修の中だけで終わらせるのではなく、もう一度振り返り、家族や友達など周りの人に発信していきたいと思います。 

(出会いの場ポレポレスタッフ 碇)

 

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7月 第26回全国グループホーム等研修会に参加しました  北摂杉の子会の施設も見学しました

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7月24日・25日、神戸ポートピアホテルにて、第26回全国グループホーム等研修会~近畿地区大会~が行われ、当法人より4名が参加しました。

大会のテーマは、「地域の中で安心できる住まい、暮らしを創造していく」。

 

初日の基調講演では、神戸百年記念病院看護師の野村真波さんが、「障害を乗り越えて…」という演題で講演をされました。交通事故で右腕をなくされた当時の事から治療、リハビリの苦しみ、障害を乗り越えてのパラリンピック水泳日本代表としての挑戦などを、明るく、時には声を震わせながら語っておられました。お話をお聞きして、障害の受容の過程での苦悩や、周りの支え、仲間の大切さを教えていただきました。

 

次に、「終の住まいとしてのグループホームをどう考えるか」というテーマで、各団体の代表者と厚生労働省の方を交えて座談会が行われました。グループホーム・ケアホームが一元化される中で、障害者の地域生活がどのように進んでいくのか、本当に誰もが地域で生活していける「共生社会」の実現をどう目指していくのか、どのような現状なのかなど、熱心に討議されました。

 

2日目は、当法人の参加者4名がそれぞれ、「GHの高齢化対策と今後の対応を共に考える」や「GHにおけるホームヘルプサービス等の利用」「GHの事業展開について」「生活支援員、世話人さんの思いをぶつけよう」というテーマの分科会に参加し、今後のGHとして余暇支援の充実や高齢化に向けての準備、ご本人の意見を反映した運営など考えるよい機会になりました。

 

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研修会終了後は、大阪府高槻市に本部を置く、社会福祉法人「北摂杉の子会」の施設を見学させていただきました。

松上理事長自ら法人の説明をしていただき、「レジデンスなさはら(グループホーム)」や「ぷれいすBe(生活介護・就労継続支援B型・短期入所・日中一時支援)」「ジョブジョイントおおさか」「たかつきブランチ(就労移行支援事業、自立訓練事業)」の施設見学に同行・説明をしていただきました。

各施設では、それぞれ自閉症や発達障害に特化した取り組みがなされており、今までの構造化に関する認識やどのような配慮が必要か考える機会をいただきました。(前田 力哉)

 

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7月 社会福祉法人あさみどりの会が、新園舎「さわらび園」を竣工。 お披露目会に出席しました

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7月20日(日)、名古屋市にある「さわらび園」の新園舎竣工・お披露目会に出席しました。

同園は、社会福祉法人あさみどりの会が運営する児童発達支援センターです。

あさみどりの会は、42年前、障がいのある幼児の早期療育の重要性を考え、お母さんが子どもとしっかり向き合い、

子ども達が一人の人間として幸せな人生が送れるように力をつけていくための母子通園施設としてスタートしました。

当日、到着して先ず目に飛び込んできたのは、おとぎの国のお城のような外観で、びっくり。

子ども達は「わぁ、ディズニーランドだ!!」と声をあげたそうです。

園内には活動・訓練・相談室があり、待合室にカウンターテーブルや椅子が設置され、

当日も親子でゆっくりとくつろいでおられました。

その光景を見ながら、島崎春樹理事長は、「楽しんで利用していただくことで建物は生きてきます。

それが設計を手掛けた者の喜びです」と言われました。

3階に上がると、ひときわ豪華な母親カウンセリング室がありました。

ここにお母さん方が集まり、お互いに研鑽を深める場をとても大切にされている事がうかがえました。

また、同会は法人設立前から保護者や市民有志の皆さんで資金作りの為のバザーやイベントを開き、

ボランティア養成にも力を注いで来られました。

お披露目会には、40年~50年の長きに渡りボランティアとして続けて来られた方々も大勢参加されていましたし、

幼児期を「さわらび園」で過ごした親子等、多くの皆さんが駆けつけておられ、

歴史の重さを感じるお祝い会でした。 (野田 文子)

 

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当法人は、長年、島崎春樹理事長(80歳)に支えられてきました。

 

IMG_4557 島崎春樹先生

 

「あさみどりの会」の島崎理事長との出会いは、17年前、平成9年の夏休みでした。

当時、「障がいの重い方の暮らしの場を地域につくる」ために、

教員や保護者など大勢で全国の先進地を視察に行っていました。

その一つが、名古屋市にある「あさみどりの会」のグループホームづくりでした。

島崎理事長自らが施設長をされているホテルのような建物の「べにしだの家」にも驚きましたが、

平成元年という早い時期から取り組んでおられたグループホームづくりについてのお話をお聴きし、

目の前がぱっと開けたような気がしました。早速、講師として久留米に招聘し、

久留米養護学校(当時)にて講演をしていただきました。

その時、私たちは「法人設立をしたほうが良いのだろうか」と迷っている段階でしたので、

島崎理事長に相談。「是非、やったがいい」と背中を押していただきました。

その時以来、島崎理事長は「島崎春樹先生」になり、遠い名古屋の地ではありますが、

実質、当法人の相談役をお引き受けいただいたようなものでした。

それから、違う顔ぶれの教員や保護者、職員達を連れて、幾度となく名古屋を訪れ、お話をお聞きしたものです。

また、島崎理事長は建物の設計がとても得意な方です。

「出会いの場ポレポレ」の設計においても何度もこちらから案を送り、図面を書いていただきました。

それ以来、「カリブ」から「チェムチェム」「ニュンバ」「三原さんの家」「こりんず」まで、

グループホームの改造設計を相談すると、わざわざ現地を見に来てくださり、図面化していただきました。

個人的にも法人経営で悩んだり、落ち込んだりする度に、

「人生は徒労の連続だ」「やろうとすることは運動だ」と励まされてきました。

今年(平成26年)の3月、「あさみどりの会」は、生涯を通じて障害者福祉に力を注ぎ、

「この子らを世の光に」の著書で有名な糸賀一雄さんの生誕百年記念式典にて、糸賀一雄記念賞を受賞されました。

そして今年の7月、全国に先駆けて42年前に建てられた「さわらび園」を次世代に引き継ぐために、

島崎先生設計のもと、新園舎として完成。この11月には、理事長・理事職を退任されます。

これまで、偉大な島崎春樹先生に当法人を支えていただいたこと、本当に光栄に思っています。

そして、まだまだお元気でいらっしゃるので、当法人の相談役は続けていただきたいと願っております。 (馬場 篤子)

 

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今回、新園舎を視察させていただき、建物の設計などにこだわっておられる点に多くを学びました。

「お母さん達は悩みを抱えて来られるからこそ、初めてやって来るお母さん達がこの場所で元気にならなければならない」

「お母さんや子ども達が行きたくなるような場所を作りました」

園内の説明の中で、このような言葉が印象的でした。

また、新園舎には、地域の皆さんが気軽に足を運べるような工夫がされていましたし、

子どもが成長して成人になっても頼れる場所となり、

元気になれる場所であり続けるためのつながりの場でもあることを感じました。 (北岡さとみ)

 

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